未来の生命を探る新たな試み、SFアンソロジー『鏡の国の生き物をつくる』
2015年8月31日に日刊工業新聞社から刊行される書籍『鏡の国の生き物をつくる SFで踏み出す鏡像生命学の世界』は、読者を科学とフィクションが交錯する未知の世界へと誘います。なぜ「鏡像生命」が今注目されるのか、そしてその影響はどこまで深いのか。この本は、そんな難解なテーマを5人の才能あるSF作家たちが短編小説という形で描き出した、異色のアンソロジーです。
鏡像生命とは何か?
鏡像生命学は、私たちの身体を形成するタンパク質が「L型」と呼ばれるアミノ酸で構成されていることから始まります。この「L型」を鏡写しにした「D型」のアミノ酸を使って、生命を作り出そうという革新的な試みが進められています。鏡像生命は、私たちの構造とは反対の分子構造を持つため、知性や感覚、さらには文化さえも異なる可能性があります。この新しい生命体と出会うことで、私たちの世界はどのように変化するのでしょうか?
各小説の魅力を徹底解剖
1.
『螺旋を左に、ハンドルを右に』(柞刈湯葉)
主人公が勤めるバイオベンチャーでは、DNAを反転させた植物を開発中。ある日、周辺住民から異臭がするとの通報が。現場に向かうも、異変は見当たらず……。
2.
『Dワールド』(八島游舷)
宇宙コロニー「Dワールド」では、鏡像生命が独自の生態系を維持。しかし、鏡像生命が隔離されているエリアに生身の人間がいるとの噂が立ち、謎が深まる。
3.
『均衡線』(麦原遼)
鏡写しの分子構造を持つ〈ラ〉と〈ダ〉の人類が共存する星。子どもを持とうと悩む夫婦に、二つの分子の起源に関する重要な知らせが届く。
4.
『乙姫なんかじゃない』(茜灯里)
体重増加に悩む高校生エリカが遺伝子調査を受けるが、結果がエラーに。これをきっかけに、人類の起源を知る冒険に巻き込まれる。
5.
『ウィクラマシンゲによろしく』(瀬名秀明)
鏡像生命の発見がもたらした混乱と変化。合成生物学者が陰謀論者による攻撃に晒される中で、鏡像生命によって変わり行く世界に抗う姿を描く。
書籍情報
- - タイトル: 鏡の国の生き物をつくる SFで踏み出す鏡像生命学の世界
- - 監修・著者: 藤原慶
- - 著者陣: 茜灯里、柞刈湯葉、瀬名秀明、麦原遼、八島游舷
- - 発売日: 2025年8月31日
- - 定価: 1,980円(税込)
- - ISBN: 978-4-526-08403-4
お問い合わせ
日刊工業新聞社 書籍編集部 03(5644)7490
販売・管理部 03(5644)7403
本書は予約受付中で、日刊工業新聞社のオフィシャルサイトおよびAmazonで購入可能です。この新感覚のSFアンソロジーを手に取り、未来の生命の扉を開いてみてはいかがでしょうか。