受賞作品の魅力
2025-12-09 16:20:32

第35回Bunkamuraドゥマゴ文学賞授賞式。川内有緒の受賞作品『ロッコク・キッチン』の魅力を探る

第35回Bunkamuraドゥマゴ文学賞授賞式が華やかに開催



2023年11月27日、日仏会館・恵比寿にて、権威を誇る「Bunkamuraドゥマゴ文学賞」の授賞式が行われました。この文学賞は1990年に設立され、固定観念にとらわれない新しい文学の可能性を追求することを目的としています。特に、選考委員が毎年異なる一人の作家であるのが特徴です。今回の第35回では、ノンフィクションライターの最相葉月氏が選考委員として参加し、川内有緒氏の『ロッコク・キッチン』が受賞作として選ばれました。

受賞記念対談で見えた作品の裏側



授賞式は、まず最相氏と川内氏の受賞記念対談から始まりました。川内氏の作品『ロッコク・キッチン』は、2024年10月号から2025年8月号まで文芸誌「群像」に隔月連載された内容を元にしたものです。この作品は、国道6号線(通称:ロッコク)沿いの風景がどのように変化しているかを記録し、人々の暮らしを探ることから始まっています。

川内氏は、取材を始めたのは約2年前で、国道を訪れる中で「人々はどのように暮らしているのか」という疑問を抱くようになりました。その中で、実際に生活している人々に焦点を当て、食事や生活の様子を掘り下げました。最相氏はこの作品に対して強い魅力を感じており、連載が終わった後もその感動が変わらなかったと述べています。

対談内では、川内氏が自らの手で物語を表現するため、「本と映画を同時進行で制作する」というユニークなアプローチについても話されました。彼女は「どんなメディアでも自分の思いを伝えられたらと考えている」と語り、他の媒体の力を借りる柔軟さも持っています。そして、福島第1原発の作業で日々を過ごし、夜には書店を営む武内さんとの出会いが、作品全体の重要な指針となったことを明かしました。

贈呈式の感動的な瞬間



対談の後、贈呈式では株式会社東急文化村の嶋田創社長から賞状とスイス・ゼニス社製の時計が贈られました。また、メルシャン株式会社からも特製のシャンパーニュが川内氏に授与され、その場にサプライズで福島県産のワインも贈られるという心温まる瞬間が訪れました。

最相氏は、受賞作について、「福島という地域が抱える食の問題に深く関わっており、人々がどのように食べ、何を大切にしているのかを探ることが重要」と語り、作品への期待感を高めました。一方川内氏は、自らの作品が何か特別な力になったことを実感しており、「多くの方々の協力によって成り立ったこの本を、浜通りの状況を知ってもらうための一助としたい」と話しました。

今後の活動と作品展開



授賞式には、川内氏の作品に登場する人物やドキュメンタリー映画『ロッコク・キッチン』の監督である三好大輔氏など、多くの関係者が駆けつけ、受賞を祝福しました。このように、多数の才能が集まるこの授賞式は、今後の文化活動の一環としても注目されています。

今後『ロッコク・キッチン』は2025年に単行本化され、またドキュメンタリー映画も2026年に公開が予定されています。川内氏の作品がどのように発展していくのか、非常に楽しみです。作品は未来の文学の可能性を感じさせるものであり、読者にとって新たな出会いとなることでしょう。

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授賞式の詳細なレポートは、Bunkamuraの公式ホームページで公開されています。興味のある方はぜひご覧ください。


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