映画の裏側を描く初の漫画『極道オールアップ!』
映画『ちはやふる』シリーズで知られる小泉徳宏監督が、ついに漫画原作に初挑戦しました。その名も『極道オールアップ!』。この作品は、すでに「モーニング・ツー」で好評連載中で、12月23日に第1巻が発売されます。カバーは昭和の映画ポスターをイメージしており、ノスタルジーを感じさせる魅力的なデザインです。
背景とストーリー
主人公は元極道の奥園鯨。彼は過去の罪を償った後、映画館でラブコメ映画『QUN♥極(きゅんごく)』を楽しむ生活を送っています。今日も彼は涙を流しながらその続編を観ていましたが、突然映画の撮影現場に遭遇してしまいます。鯨は、裏方のピンチヒッターを依頼され、責任の重さに圧倒されながらも、映画制作の現場に身を投じていきます。
映画の裏方の仕事は、一般にはあまり知られていない側面が多いですが、鯨はその重要性を少しずつ理解していくことになります。通行人を止める、雑音を遮断する、現場のお弁当を配るなど、地味ながら重要な業務に挑む鯨は、果たしてその業務をうまくこなすことができるのか。
作品の魅力
この作品がただのコメディ作品ではない魅力は、映画制作のリアルさを感じさせるところにあります。作者の小泉監督が、自らの経験をもとに描く映画業界の「あるある」を、笑いとともに伝えていく姿勢が見受けられます。また、見た目とは裏腹にラブコメ映画が好きな鯨の心情が、読者にとっても共感を呼び起こします。第1話では「コンセント」を抜き差しする役目が鯨に与えられますが、それが意外に難しいという点が、作品のユーモアを生み出しています。
この漫画は、単なる業界裏話を越え、映画の魅力を再発見させてくれる作品に仕上がっています。映画業界に興味がある方はもちろん、今後の就職先に悩んでいる学生たちにもぜひ手に取ってほしい一冊です。
作者について
小泉徳宏監督は1980年生まれ。彼はこれまで『ちはやふる』シリーズや『父と僕の終わらない歌』といった作品で、多くのファンの心をつかんできました。監督の新たな挑戦として、漫画原作に取り組む姿勢は、多くのクリエイターにとって刺激的でしょう。
一方、漫画を描くのは大谷紀子氏。彼女もすでに映画化された金魚すくい漫画『すくってごらん』で実績を持つ作家です。映画業界を覗いた経験がある彼女の手により、作品はもっとリアルで奥深いものとなっています。
発売情報
『極道オールアップ!』第1巻は、12月23日に全国の書店で販売され、電子版も同時にリリースされます。映画が持つ力を感じさせるこの作品は、きっと多くの読者に新たな視点を提供してくれるでしょう。興味のある方はぜひ、手にとってその魅力に触れてみてください。