APECデジタルAI大臣会合がもたらした新たなデジタル政策の道筋
2023年8月4日、韓国の仁川にてAPECデジタルAI大臣会合(TELMIN11)が開催され、総務省から今川総務審議官が参加しました。この会合は、APEC加盟国のデジタル及びAIに関する政策の現状や課題についての重要な議論の場となりました。
APECデジタルAI大臣会合の意義
APECにおける情報通信分野の大臣会合は、2015年に続き、10年ぶりの開催です。今回、韓国が議長国として主導し、会合では「(1)課題解決のためのデジタル・AIイノベーションの促進」、「(2)普遍的かつ有意義なデジタルコネクティビティの向上」、「(3)安全で信頼できるデジタル・AIエコシステムの創出」の3つのテーマについて意見交換が行われました。
今川総務審議官の発言
今川総務審議官は、「課題解決のためのデジタル・AIイノベーションの促進」に関するセッションで、安全で責任あるAIの実現に向けたルールの整備が肝要であると強調しました。日本が主導する「広島AIプロセス」に基づき、生成AIの開発において透明性と説明責任を高めるための「国際行動規範」の遵守状況をAI開発企業が自己確認し報告する「報告枠組み」などの取り組みを紹介しました。
デジタルコネクティビティの向上
次に、普遍的かつ有意義なデジタルコネクティビティの向上についても議論されました。ここでは、競争政策と不採算地域への財政支援のバランスが重要であり、新技術の導入とネットワークの強靭化を進めることが求められています。これにより、高度かつ安全なインフラの確保が必要であることが確認されました。
成果文書の採択
会合を通じて得られた意見を基に、本会合の成果として閣僚声明が採択されました。この声明は、各参加国が今後のデジタル政策における協力を強化することを目指す内容となっています。これにより、デジタル革新を推進し、地域全体の発展を促進することが期待されています。
バイ会談の実施
また、今川総務審議官はこの機会を利用して、米国の科学技術政策局長、韓国の科学技術情報通信部第2次官、インドネシアの通信デジタル省事務次官との間でバイ会談を行いました。これらの対話を通じて、各国との政策課題について意見交換を深め、協力の可能性を探りました。
未来の展望
APECデジタルAI大臣会合は、今後のデジタル政策の指針を示す重要な場となるでしょう。この集まりを契機に、各国が連携を深めていくことが期待されています。引き続き、デジタル及びAI関連の取り組みが進展し、安全で信頼できる社会の実現に向けた足がかりとなることを願っています。