新たなオーラル・ヒストリー
2025-09-25 17:42:30

世界の言語と文化を紡ぐ新たなオーラル・ヒストリー出版決定

新たなオーラル・ヒストリーの誕生



2025年9月25日、株式会社くろしお出版から待望の新刊『複数の言語で生きて死ぬ人生物語編』が発売される。この本は、編集者である山本冴里氏の手によって編纂され、複言語で生きてきた人々の貴重な体験が綴られる一冊だ。

前作からの続編



本書は、2022年に刊行された『複数の言語で生きて死ぬ』の続編として位置づけられ、前作同様に多言語を話す人たちの生活や死生観に焦点を当てているが、今回はさらにそのテーマを深く掘り下げるかたちとなっている。前作は主に著者たちの視点から複言語と人の生死を論じていたが、今回は実際の体験を持つ人々の声を自由に引き出し、彼らの語りを通じて多様な言葉の重なりを感じさせる仕上がりとなっている。

複言語の意味するもの



「国民」にカテゴライズされない生を目指すという意図のもと、本書では複言語で生きる人々のストーリーは、単に言語の数や使い方だけでなく、その背後にある文化や歴史、そして個々のアイデンティティにまで深く切り込んでいる。山本氏は、「言葉を超えた人と人のつながりを感じてほしい」との思いを込めており、その言葉の通り、本書は読む者に新たな視点を提供してくれる。

様々な声の融合



本書には、複数のバックグラウンドを持つ人物たちのインタビューが収録されている。例えば、自身の母国を離れた理由や新しい地での生活、さらには言語を通じたアイデンティティの探求など、個々の物語が語られている。イントロダクションにはこうした多様性を大切にする姿勢が強調されており、日本語を基礎にしながらも様々な言語の重なりがどのように響き合うのかが描かれている。

社会的背景と重要性



近年、日本国内ではヘイトスピーチが問題視されている中で、本書のテーマは一層の重要性を持つ。言葉が持つ力と、言語を共有しないことによる疎外感に対抗するための糧となることを目的に、山本氏は本作を編纂した。彼女の思いは、そのまま本書にも色濃く反映されており、多言語社会に生きることの意義や課題について、読者に真摯に訴えかけている。

収められた多様な物語



目次としては、次のような章が挙げられている:
  • - 第一章:母が語る、愛と罪の葛藤。
  • - 第二章:アメリカで戦った日系二世の誇り。
  • - 第三章:ブラジルでののんびりとした日常。
  • - 第四章:サハリンに残る家族の言葉。
  • - 第五章:沖縄人としてのアイデンティティ。
  • - 第六章:田舎から都会、そして日本への旅。
  • - 第七章:言語は自由、人は自由。
  • - 第八章:アイヌの文化に込められた母の願い。

まとめ



本書は、言語を通じて人間の営みを掘り下げ、多様性を称える作品となっており、単なる文学作品ではなく、社会に向けたメッセージが詰まった重要な著作である。新たなオーラル・ヒストリーとして、読者に深い感動と共感を呼び起こすことであろう。発売が待ち遠しい。


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