音楽の歴史を紐解く一冊『日本ポップス史1966-2023』の魅力とは

音楽の歴史を紐解く一冊

音楽が持つ力は時代を超えて人々の心をつなぎ取ります。11月10日、NHK出版から登場する新刊『日本ポップス史1966‒2023あの音楽家の何がすごかったのか』は、日本の大衆音楽のルーツとその後の変遷を総括的に振り返る貴重な一冊です。この本を手に取ることで、私たちは吉田拓郎からVaundyまで、多様な音楽家の功績を深く理解することができるのです。

音楽家とその時代の関係

本書は、著者スージー鈴木が語るように、「あの音楽家がいちばんすごかった時代」と「あの時代にいちばんすごかった音楽家」という二つの視点から構成されています。これにより、各音楽家の偉業がどのようにその時代に影響を与え、または受けてきたのかを明らかにしています。

初めに

この本は、時代の波を乗り越えた音楽家たちの鮮やかな軌跡を追い、彼らの「何がすごかったのか」という問いに挑戦します。1966年から2023年までの53年間、この長い時を経てどのような音楽が生まれ、人々の心にどのように響いてきたのかという問いに答えるための作品です。

各章の内容

本書は三つの主要な章に分かれて構成されています。まず、序章では1972年の吉田拓郎を取り上げ、その影響の大きさについて考察します。その後、1966年から1979年、1980年から1994年、そして2016年から2023年の各章において、時代ごとの著名音楽家たちの業績が詳細に解説されます。例えば、1966年のかまやつひろし、1973年の井上陽水、1980年の忌野清志郎など、名だたるアーティストたちが登場し、歴史の中でどのように位置づけられるのかが説明されます。

時代性と大衆性の考察

鈴木が注目するのは、単なる「作品性」だけではありません。音楽だけでなく、時代のトレンドや大衆性、すなわちその音楽がどのように売れたのかという側面からも考察を行います。これにより、音楽が社会の一部としてどのように存在してきたのかが浮かび上がります。

著者の背景と考察

スージー鈴木は長年にわたり音楽の評論を行ってきた実績を持ち、広範なジャンルを網羅する知識を持つ音楽評論家です。彼女の分析は常に時代と密接に関連しており、音楽を通じた社会の旅を提供します。

本書には、音楽シーンに登場する多様な人物、例えば宇多田ヒカルやVaundyといった若い世代の音楽家たちにまで触れられており、日本のポップスが時代ごとにどのように革新を続けているのかが示されています。

おわりに

『日本ポップス史1966‒2023あの音楽家の何がすごかったのか』は、ただの音楽史書ではなく、各時代に生きた人々の心情に寄り添い、音楽そのものとその背後にある文化までを俯瞰する貴重な作品です。音楽に興味のある方、また日本の流行や文化を理解したい方にとって、必読の一冊になること間違いありません。ぜひ手に取ってみてください。