セントラル空調システム用抵抗低減剤の性能測定方法がJISに！

セントラル空調システム用抵抗低減剤の新しいJIS基準

2025年5月20日、一般財団法人日本規格協会（JSA）は、セントラル空調システムに使う水循環系の抵抗低減剤に関する性能測定方法を新たに日本産業規格（JIS）として制定しました。これは、先端技術を持つ企業がニッチな製品を開発する際に必要な規格を支援する「新市場創造型標準化制度」を基にしています。

セントラル空調システムとは

オフィスビルや商業施設に広く使用されているセントラル空調システムは、ボイラーや冷凍機で生成した温水・冷水を配管を通じて建物内の空調機に循環させる方法です。この方式は、効率的に建物全体の空調を行うために設計されています。特に、ポンプによって水が常に循環しているため、電力消費が大きくなるのが課題です。

制定の背景

近年、電力消費量や運用コストの増加、CO2排出が問題視される中、効率的に水の流れを改善し、電力の節約ができる「抵抗低減剤」が注目されています。抵抗低減剤は、微量の界面活性剤を加えることで、水の流れをスムーズにし、ポンプにかかる負担を軽減します。この効果は1930年代から知られていましたが、従来は統一された性能評価がなかったため、客観的な比較が困難でした。

新しいJISがもたらす効果

制定されたJIS B 8703:2025では、抵抗低減性能および防せい性能（腐食速度）の測定方法が明確に規定されています。これにより、実際のポンプ運転状況を模した条件下で、抵抗低減剤の効果を定量的に評価できるようになります。この標準化により、製品間の信頼性向上や差別化が可能となり、新しい市場の創出が期待されます。

環境への貢献

さらに、抵抗低減剤が普及することで、電力使用量やCO2排出量の削減にも寄与し、環境保全や持続可能な開発目標（SDGs）の達成にも寄与することが期待されます。セントラル空調システムは、適切な管理と技術革新により、より効率的で環境に優しいシステムへの進化が求められています。

日本規格協会の役割

1945年に設立された日本規格協会は、標準化や管理技術の普及を目的としており、JISや国際規格の開発を行っています。今回のJISは、業界全体に長期的な利益をもたらすことを目的として、信頼できる標準を提供する重要なステップです。これにより、企業が新たな製品やサービスを市場に導入する際の「安心感」を提供し、業界全体の課題解決に向けた取り組みが加速することが期待されます。

新たに制定されたJIS B 8703:2025は、今後のセントラル空調システムにおける遮断効果の向上を図り、より持続可能な社会の実現に貢献することでしょう。