『変わり者たちの秘密基地 国立民族学博物館』の魅力に迫る
2025年9月29日、株式会社CEメディアハウスより、新しいノンフィクション『変わり者たちの秘密基地 国立民族学博物館』が発行されました。この書籍は、大阪・吹田市に位置する国立民族学博物館、通称「民博」の魅力を深く掘り下げています。
民博の不思議な世界
国内外の多様な文化や民俗を紹介する民博は、世界的に見ても展示物の数が34万7000点以上という驚異的な規模を誇ります。広大な館内を巡るには、なんと5キロもの距離を歩く必要があります。そのため、訪れる際にはスニーカーが必需品。東京の国立博物館が3000点程度の展示を行っているのに対して、民博はその数十倍の展示物を誇ります。この数字だけでも、民博がいかに魅力的な場所であるかがわかります。
人々の物語
この書籍が特に際立っているのは、物ではなく、「人」に焦点を当てている点です。民博には、研究者たちがさまざまな文化や民俗を探求し、その成果を展示するために日々奮闘しています。本書では、彼らの素顔や興味深い研究テーマが紹介されています。たとえば、樫永真佐夫教授はベトナムの黒タイ族を研究し、島村一平教授はモンゴルのシャーマンやヒップホップに対する独自の視点を持っています。これらの個性的な研究者たちの活動を通じて、民博の背後にある人間ドラマがより鮮明に描かれます。
斬新な展示スタイル
民博の展示は、ただ見るだけのものではありません。初代館長の強いこだわりにより、物はガラスケースに収められることなく、むき出し状態で展示されています。これにより、訪れる人々は直接触れることで、物の重さや匂いを体感し、その背景にある文化や歴史をより深く理解できる仕組みが整えられています。思わず「なぜこれを持ってきた?」と疑問に思えるような、個性的な展示物が並ぶ光景は、まさに民博ならではの特徴と言えるでしょう。
過去から未来へ
本書は、民博がどのようにして現在の形になったのかだけでなく、これからの博物館の未来についても考察しています。研究者たちが心血を注いで行う展示や企画展は、コロナ禍の影響を受けながらも進化を続けています。それらが地域社会や訪問者に与える影響、そして参加型のイベントがどのように構築されているかについても触れています。
おわりに
『変わり者たちの秘密基地 国立民族学博物館』は、単なる博物館の紹介に留まらず、その背後に潜む人々の情熱やストーリーを追った一冊です。民博の変わり者たちの秘密を知ることで、訪問者は新たな視点でこのユニークな場所を楽しむことができるでしょう。興味を持った方は、是非手に取ってみてください。あなたの見慣れた博物館のイメージが一新されるはずです。