ハン・ガンの新刊『光と糸』が発表!
ノーベル文学賞を受賞したハン・ガン氏が、約一年ぶりに新作『光と糸』を2025年12月19日に出版することが決定した。この作品は、彼の受賞後初の著書で、多くのファンが待ち望んでいた一冊である。河出書房新社から出版されるこの本は、著者の思いが詰まった作品となるだろう。
受賞後の軌跡と作品について
ハン・ガン氏は、アジア人女性として初めてノーベル文学賞を受賞し、その意義は大きい。2024年10月に授賞式を終えた後、彼女は「世界には多くの苦痛があり、静かにすることが必要だ」と述べ、記者会見を避けてインタビューに応じる姿勢を貫いた。その後も公の場に出る機会は極めて少なく、彼女の新作発表を待つ読者の期待は高まっていた。
新刊『光と糸』は、韓国での発売初日に一万部を売り上げ、ベストセラー第一位を獲得したという。こうした反響からも、彼女の言葉がどれほど人々に響いているのかが伺える。今回の作品には、彼女の受賞記念講演全文や創作についてのエッセイ、5篇の詩、また著者自らが撮影した写真が含まれており、彼女自身による手稿が色濃く反映されている。
光と暗闇を巡るテーマ
『光と糸』では、「なぜ世界はこんなにも暴力的で苦痛に満ちているのか?」という問いが投げかけられ、同時に「なぜ世界はこんなにも美しいのか?」という反対の命題も提示されている。この作品を通じて、ハン・ガン氏は読者に対して重要な問いかけを行っている。過去が現在を助けることができるのか、死者が生者を救うことができるのかといったテーマが、彼女のストーリーを通じて展開されている。
本書では光と愛がテーマとなっており、最終ページには彼女が8歳の頃に書いた詩が収められている。その詩を起点として、光と愛を巡る内容が紡がれていくことが特徴で、この作品がどれほどの奥深さを持つのかが伺える。ハン・ガン氏の言葉が持つ力の一端を感じ取れることであろう。
著者情報と今後の展望
ハン・ガン氏は1970年韓国・光州で生まれ、1994年に短編作家としてデビューした。その後、『菜食主義者』で受賞したブッカー国際賞を始め、数々の賞を受賞し続けている。本作『光と糸』はその集大成とも言える作品に仕上がっているだろう。
また、新刊に合わせて「日本語で読めるすべてのハン・ガンフェア」が全国の書店で開催される予定で、彼女の作品に一層触れる機会が増えることが期待される。このフェアでは、邦訳書を中心に特製リーフレットも配布され、読者にとって見逃せないイベントとなるだろう。
ハン・ガン氏の魅力的な世界を詰め込んだ『光と糸』の発売日には、ぜひ書店に足を運び、その一冊に触れてみてほしい。