中公文庫『幸村を討て』が大賞受賞
株式会社中央公論新社が刊行した中公文庫『幸村を討て』が、第13回大阪ほんま本大賞を受賞しました。この賞は、大阪を舞台にした小説の中から、関西の書店員や販売会社の社員が選んだ「ほんまに読んでほしい本」に贈られます。今年の受賞を受け、関西の書店約800店では7月25日(金)より店頭展開が開始され、多くの読者にこの注目作が届けられます。
受賞作の販売によって得られた利益は、大阪府社会福祉協議会を通じて地域の児童福祉施設へ図書を寄贈するための資金として活用されることも特徴的です。この取り組みは、作品を読んで楽しむだけでなく、地域社会に貢献するという意味でも意義深いものです。
大賞受賞を喜ぶ著者・今村翔吾の甲冑姿
今回の受賞に際し、真田家に特別な思い入れを持つ著者の今村翔吾さんが、真田幸村に扮して書店用のポスターやPOPなどを作成しました。著者が甲冑姿で大坂の陣を象徴するような演出を施し、書店の店頭を一層華やかに彩ります。また、著者近影も甲冑姿に更新されており、ファンや読者は新たな姿を楽しむことができます。特に、大阪城をあしらったパネルは、作品の世界観を感じさせる重要な要素となっています。
著者の今村さんは、「選んでくださってありがとうございます。」と受賞の喜びを語り、「大阪らしい賑やかな冠をかぶせていただき、作品も喜んでいると思います。」と、地元書店の取り組みを共に盛り上げていきたいと、強い思いを表明しました。
書店員から高評価の作品
『幸村を討て』は、歴史とミステリーが見事に融合した作品として、多くの書店員から絶賛されています。TSUTAYAリノアス八尾店の店長、岡和可子さんは、「異次元におもろい!」と絶賛し、ストーリーテリングや伏線回収の見事さに感銘を受け、「ページをめくる手が止まらなくなること間違いなし!」とコメントしています。
また、旭屋書店なんばCITY店のI.Fさんは、「謎に満ちた真田幸村の実像を6人の武将の視点から描き出した連作短篇」と作品の魅力を語り、「歴史小説としても、ミステリーとしても楽しめる。こんな作品はかつて無かったのでは!?」とその革新性を称賛しています。
物語の概要と背景
『幸村を討て』は、真田幸村を中心に、戦国時代の大坂の陣を舞台に、様々な武将たちの思惑が交錯する物語です。徳川家康や豊臣方の武将たちは、真田幸村の存在を強く意識し、彼に「幸村を討て!」と叫びます。この物語を通じて、真田父子、兄弟、そして「家」をめぐる切ない物語が展開され、読者は手に汗握るエキサイティングな展開に引き込まれます。
本書は、家康を探偵役として描くユニークな視点や、真田家の人間ドラマが巧みに織り交ぜられた作品で、各紙誌からも高い評価を得ています。文庫化に際しては、『塞王の楯』や「羽州ぼろ鳶組」シリーズと並ぶ熱さや緻密な叙述を兼ね備えた、期待の作品です。
書誌情報
- - 書名: 幸村を討て
- - 著者: 今村翔吾
- - 判型: 文庫判
- - 発売日: 2024年11月20日
- - 定価: 1,100円(10%税込)
- - 累計部数: 133,000部
著者について
今村翔吾さんは1984年に京都府で生まれました。デビュー作『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で第7回歴史時代作家クラブ賞を受賞。以降、多数の受賞歴があり、特に歴史小説やミステリーの分野で評価を高めています。直木賞にも候補として選ばれるほど、その作風は多くの読者に支持されています。今後の活躍にも期待が寄せられています。