ISO 14644シリーズの新対訳版の意義
2025年9月16日、一般財団法人日本規格協会(JSA)から、ISO 14644シリーズの「第5部:運転」に関する対訳版が発行されました。この新しい規格は、クリーンルームの効率的な運用を目指し、利用者にとって非常に重要な基盤となるものです。特に、クリーンルームは高精度の製品や研究成果に直結する環境で、その清浄度は絶対不可欠です。
クリーンルームの基本
クリーンルームは、微粒子や微生物の侵入を防ぎ、厳密にコントロールされた環境で製品を製造するためのスペースです。これには以下の4つの原則が求められます。
1. 微粒子を持ち込まない
2. 微粒子を発生させない
3. 発生した微粒子を速やかに排除する
4. 微粒子を堆積させない
このような構造は半導体製造や医薬品製造等、様々な業界で必要不可欠なものとなっています。クリーンルームが適切に機能することにより、生産物の汚染を防ぎ、品質を保持します。
ISO 14644-5:2025の特徴
新たに発行された対訳版「ISO 14644-5:2025」は、清浄度レベルを維持するための運転管理プログラム(OCP)の要求事項を規定しています。このプログラムは、要員管理や資材の入退場管理、清掃、保守、モニタリングなど、クリーンルームの効率的な運用に必要な全要素を含んでいます。
この規格に従って運営されることで、さらに品質の高い製品が市場に提供されます。定期的なメンテナンスや構造管理が求められるため、この分野での専門知識が求められます。
他の関連する規格について
また、同時に「JIS B 9920-3:2025」も発行されており、この規格はクリーンルームやその関連環境における試験方法を定めています。試験方法には、清浄度および温湿度のチェック、光散乱式による粒子計数器を用いたリーク試験などが含まれています。このような詳細な手順を策定することにより、クリーンルームの運用がより科学的で正確なものになります。
購入方法
新たに発行された対訳版は、英語版が26,862円(税込み)、対訳版が48,345円(税込み)で販売されています。これに加えて、JIS B 9920-3も10,120円(税込み)で手に入れることが可能です。各規格に関しての詳細や購入は、日本規格協会のカスタマーサービスにお問い合わせください。
日本規格協会の取り組み
一般財団法人日本規格協会は1945年に設立され、我が国の標準化と管理技術の普及、啓発を目的としています。JSAはJIS規格や国際規格の制定、審査登録、セミナー開催など幅広い事業を展開しており、国内の産業界において重要な役割を果たしています。新たなクリーンルームに関する規格の発行も、これらの活動の一環として位置づけられています。
このISO 14644シリーズは、クリーンルームにおける清浄度の確保を通じ、製品品質の向上に寄与するものであり、今後も重要な指針となるでしょう。