最新の全国高等学校ICT活用調査結果と教育現場への影響を探る

全国高等学校におけるICT活用実態調査とは

教育出版の株式会社旺文社は、2025年度に合わせた全国の高等学校でのICT活用に関する調査を実施しました。この調査は今年で9回目を迎え、全国661校からの回答が集まり、学術的なデータに基づいた新たな視点を提供するものです。調査の目的は、ICT機器・サービスの導入状況や活用実態を把握し、教育現場での導入推進や運用継続に向けた課題を明らかにすることにあります。

調査の概要と内容

調査は、旺文社独自のリストに基づいて全国の国公私立高等学校から行われ、対象校は計5,004校。調査方法は、アンケートをDMで配布し、Webでの回答を受付ける形式です。調査期間は2024年12月上旬から2025年1月中旬まで、その結果は2025年2月13日に発表される予定です。

主な調査内容

- 端末の配備状況: 約95.3%の学校で「1人1台」の端末が導入されており、そのほとんどがタブレット型です。特に、学校が指定した端末を利用するケースが多く、個人での調達は約4割にのぼっています。

- ネットワーク環境の整備: 校内の無線ネットワーク環境が整備され、5割を超える学校で「どこでも使用できる」とされていますが、依然として通信の安定性については課題が残っています。

- 教員のICT活用スキル: 約8割の教員がICTの重要性を感じている一方で、教員スキル向上の必要性も指摘されています。

生成AIの導入とその影響

調査で新たに設けられた「生成AIの利用状況」に関する設問も注目ポイントです。約3割の学校が生成AIを「十分・まあまあ活用できている」と回答していますが、利用にはルールを求める声や課題の存在も挙げられています。特に、生徒が課題をAIに任せるケースが報告されており、活用方法の対策が急務とされています。

教育現場におけるリアル回帰

調査結果から、ICT活用が進む一方で、「リアル回帰」という現象も見受けられます。生徒と対面でのコミュニケーションや指導を重視する傾向が浮き彫りとなり、デジタル授業の利点ばかりではなく、対面の重要性も再認識されつつあります。生徒用ICT端末の利用が「当たり前」とされている今、果たして教師たちはどのように環境に適応していくのでしょうか？

課題と展望

この調査結果から見えるのは、ICTの活用が一般化する一方、生成AIや新たな技術の導入においては、教育現場での理解とルール設定が不可欠であるということです。旺文社は、これからも学校向けのサービスやセミナーを通じて、今後の教育現場を支援する役割を果たし続けていくことでしょう。新しい技術が授業や校務を支援する一方で、教員のスキル向上や安全な利用の平準化など、多くの課題を解決する必要があります。教育現場でのICT活用の未来は、これらの挑戦を乗り越えてさらに明るいものになることでしょう。