川畑輝さん、世界の若手メディア界で輝く
朝日新聞社のメディア研究開発センターで活躍する川畑輝さんが、国際ニュースメディア協会(INMA)が主催する『30 Under 30 Awards』のプロダクト部門に選ばれました。この賞は、全世界のニュースメディアで働く若手の中から優れた人材を30人選出するもので、特に注目される存在です。2023年5月には、ニューヨークで開催されるインターナショナル大会において、その栄誉が公式に祝われる予定です。
若手の登竜門
INMAの『30 Under 30 Awards』は、ニュースメディア業界の未来を担う若手リーダーの発掘と育成を目的としています。今年は238人もの応募があり、選ばれたのはわずか30人。各部門を通じての選出は、広告、データ、マネジメント、編集局のリーダーシップ、購読収入、そしてプロダクトの6部門にわたります。川畑さんが朝日新聞社で初めて受賞したことは、同社にとっても大きな快挙です。
川畑輝さんのプロフィール
川畑輝さんは、1998年生まれの27歳。彼は大学院で自然言語処理を専門にし、AIが正しい回答を導くことの信頼性をテーマに研究を行ってきました。その成果として、国内学会での若手奨励賞の受賞も果たしています。
2023年に朝日新聞社に入社した後は、同社のメディア研究開発センターで、AIの信頼性とメディア知識の活用をテーマに研究を進めています。川畑さんは、AIによるメディア機能の革新に向けて、重要な役割を果たしています。
AIのリスク評価と改良
川畑さんは、AIが誤った根拠に基づきながらも一見正しい回答を生成してしまう現象を発見し、そのリスクを定量的に評価する手法を開発しました。さらにこの発見を基に、AI自身が生成した情報の信頼性を自動で確認・強化する方法も導き出しました。
これにより、彼の研究成果は最高峰の国際学会『EMNLP』にて採択され、多くの専門家から高い評価を受けています。
朝日新聞社の校正支援サービスへ貢献
加えて、川畑さんの研究成果や、朝日新聞社がこれまでに蓄積してきた「正確な日本文を書くノウハウ」は、同社のAI校正支援サービス『Typoless』の文法修正機能の向上に寄与しました。これにより、100社以上の導入が進み、プロダクトの品質向上に大きく貢献しています。このように、基礎研究と実社会への応用を同時に進める姿勢が評価され、今回の受賞につながったのです。
受賞に対するコメント
川畑さんは受賞について、「大変うれしく思います。研究と実務をつなぐ取り組みを評価いただけたことは大きな励みです。今後も技術によってメディアの高い信頼性を支え、社会に還元できるように努めてまいります」と述べました。
朝日新聞社メディア研究開発センターについて
2021年に設立されたメディア研究開発センターは、人工知能などの先端技術と、新聞業界独自の資源を駆使して様々な問題解決に取り組んでいます。この取り組みは、新聞社の技術革新を進めるための重要な一歩となっています。
INMAとは
INMA(国際ニュースメディア協会)は、米国テキサス州ダラスに本部を置く国際的なニュースメディア団体で、100カ国以上のメディア700社以上が参加しています。日々進化するニュースメディアの業界において、最新知見を共有し、業界の若手を支援するために活動しています。『30 Under 30 Awards』も、次世代のメディアリーダーを誕生させるための貴重なプラットフォームです。