王谷晶の『ババヤガの夜』がダガー賞最終候補に
2023年5月に日本で初版が刊行された王谷晶の小説『ババヤガの夜』が、英国推理作家協会(CWA)が主催する英国推理作家協会賞(ダガー賞)の翻訳小説部門で最終候補に選ばれました。この作品の英訳版『The Night of Baba Yaga』が、海外での評価を急速に高めています。
英訳版『The Night of Baba Yaga』の成功
英語版は2024年9月に出版予定で、翻訳者はサム・ベットです。彼は三島由紀夫の作品や太宰治の翻訳でも知られています。『ババヤガの夜』は、暴力団の会長令嬢の護衛を任された主人公が裏社会の秘密に迫るスリリングで感情豊かな物語で、英語圏でも多くの読者から支持を集めています。
特に、イギリスの「テレグラフ」誌でスリラー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたほか、「クライム・フィクション・ラバー」からは最優秀翻訳賞を受賞するなど、その評価は著しいです。また、ロサンゼルス・タイムズは「この夏読むべきミステリー5冊」に選出し、海外メディアや読者からも高く評価されています。
著者のコメント
このニュースを受けて、王谷晶は「尊敬する翻訳者のサム・ベットさんに感謝しています。このような名誉を受けるとは思ってもいませんでした」と率直な感想を述べています。彼女は、ノミネート発表の瞬間の驚きを伝えながら、日々この作品に全力で向き合ってきた実感を語りました。
海外メディアの称賛
いくつかの海外メディアでは、作品について「怒りやユーモア、スリルに満ちている」と評されており、その斬新な描写やキャラクター設定が読者の心を掴んでいます。また、ある読み手は「女性をエンパワーメントする物語」と表現し、ストーリーの深さを強調しています。特に、サムライの血を引く強い女性と繊細な少女の意外な関係が、読者に勇気を与えているとの声も聞かれます。
競争相手たち
ダガー賞翻訳小説部門には、王谷晶の他にも柚木麻子の作品もノミネートされています。過去には東野圭吾や伊坂幸太郎といった著名な作家たちがこの名誉を手にしてきたことから、日本の作家たちの活躍が世界的に注目されていることが分かります。
次なる展望と期待
このまま受賞に至れば、日本のミステリー作家としての地位を確立するだけでなく、翻訳文学の可能性を広げる大きな一歩となるでしょう。賞の結果は2024年7月3日に発表される予定で、この日が待ち遠しい方も多いことでしょう。王谷晶の今後の作品にも、ぜひ注目していきたいところです。
結び
王谷晶の『ババヤガの夜』が新たな舞台で評価される姿を見て、翻訳文学の重要性や魅力を再認識する機会ともなります。彼女の作品は、今後も国境を越えて多くの読者に愛され続けることでしょう。