『一次元の挿し木』が発売3か月で30万部を突破し話題に！

『一次元の挿し木』がその名を知らしめる

株式会社宝島社が主催する第23回『このミステリーがすごい！』大賞の「文庫グランプリ」を見事受賞した小説『一次元の挿し木』。この作品が発売からわずか3ヶ月で30万部を突破し、多くのミステリー愛好者の間で話題を呼んでいます。

物語のプロット

『一次元の挿し木』は、遺伝人類学を学ぶ大学院生の悠が主人公です。この物語は、ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨から始まります。悠は、その人骨のDNA鑑定を行った結果、四年前に失踪した妹・彩のDNAと一致することに気づきます。興味が掻き立てられた悠は、プロフェッサーの石見崎に相談を持ちかけるが、石見崎は不審な死を遂げてしまいます。この出来事がきっかけで、悠は妹の生死がかかる謎に巻き込まれることとなり、さらなる恐ろしい真実を探る旅に出ます。

物語は早い展開で進み、悠が妹の行方を追う中で古人骨を巡る様々な勢力との対峙が描かれます。悠の成長と同時に、妹の生死に関する謎も徐々に明らかにされていく構成となっており、読者はハラハラドキドキの展開に引き込まれることでしょう。

著者・松下龍之介の背景

松下龍之介は1991年生まれ、東京都江戸川区出身。彼は千葉工業大学大学院工学研究科修士課程を修了後、現在は機械システム事業に従事しています。火力発電所や製鉄所向けの高圧ポンプの設計に携わる技術者である彼が、どのようにしてミステリーを執筆するようになったのか、その背景にも興味が引かれます。昼間は技術者としての責務を果たしつつ、夜は創作の世界に没頭する彼の姿勢は、実に現代的な作家像を体現しています。彼の独自の視点が、作品にも大いに影響を与えているでしょう。

ミステリー業界の注目を集める『このミステリーがすごい！』大賞

今回受賞した『一次元の挿し木』は、この大賞の一環として発表された作品です。この賞は、2002年に創設された新人賞で、新たなミステリー作家や作品を発掘・育成することを目的としています。このたびの受賞で、彼は多くのミステリーファンに認知されることとなりました。

過去の受賞者には、直木賞を受賞した作家や、有名なミステリー作品を手がけた著者たちが名を連ねています。そうした大賞ポケットから出てくる作品は、文学界全体に大きな影響を与える存在となっています。今後の松下の活動にも目が離せません。