本郷和人教授が贈る新刊『東大生に教える日本史』の魅力
東京大学の歴史学者、本郷和人教授が手掛けた新刊『東大生に教える日本史』が、2025年2月20日に文春新書から出版されます。この書は、日本史を専門に学ぼうとするすべての読者に向けた、歴史を新たに考える機会を提供してくれます。
教授の特異な講義の背景
著者の本郷教授は、普段は一般の学生に対して講義をすることは少なく、特に日本史を専攻しない理系の学生に向けて、2022年には「変革期にあらわれる日本のルール」というテーマの特別講義を実施しました。この講義は非常に好評で、多くの学生に日本史の見方を変える貴重な経験を提供しました。その内容を基に、今回の新書が編纂される運びとなりました。
歴史を「考える」楽しさ
本書の主な目的は、歴史をただの「過去の出来事」として捉えるのではなく、現代においても意味を持つものとして再考する楽しさを伝えることです。著者自身が語っているように、日本史は単なる覚え物ではなく、歴史を通じて自分なりの理解を形成することが求められます。実際、本書では歴史の「ルール」を解き明かしながら、さまざまな史実に光を当てます。
本書の内容
本書は、全7回の講義形式で構成されており、日本史の重要な出来事や時代を分かりやすく解説しています。例えば、鎌倉幕府の誕生や、信長や家康の改革など、歴史の転換期に焦点を当てた講義が展開されます。
第一回講義: 鎌倉幕府の誕生
この講義では、朝廷以外の権力がどのようにして台頭してきたのかを探ります。この変革は、日本の権力構造に大きな影響を与えました。
第二回講義: 頼朝の死から元寇まで
頼朝の後継者を巡る悲劇や、元寇がもたらした新たな課題について深く考察します。相反する「御家人ファースト」と「オールジャパン」という観点からの分析が魅力的です。
第三回講義: 室町幕府、西か東か
この回では、武士たちが足利尊氏を選択した理由や、彼の京都選びの背景に迫ります。経済面からの歴史の捉え方が新鮮です。
第四回講義: 日本人と宗教
日本人と神仏との関係性や、平安時代の貴族の宗教観について掘り下げます。
第五回講義: 信長の革新性
信長の戦術や人事政策、権威の利用について分析。歴史を見る新しい視点が得られます。
第六回講義: 秀吉の天下統一
短期間で天下を統一した秀吉の戦略について詳しく解説します。
第七回講義: 家康が求めたもの
家康の冷酷な人事政策や政権構想を分析し、その全貌を紹介します。
歴史を通じて学ぶ
このように、全体を通じて本書はただの歴史書ではなく、歴史を「考える」ことの大切さを教えてくれる内容となっています。歴史を掘り下げることは、自分自身の存在や社会の動きを理解する手助けにもなるのです。
読者のターゲット
本書は、現役の東大生だけでなく、歴史に興味を持つ中学生や受験準備中の高校生にも最適な一冊です。日本史に対する新たな視点を提供し、多くの人々が歴史の奥深さを再発見できるでしょう。
著者プロフィール
本郷和人(ほんごう・かずと)教授は、東京大学史料編纂所教授として日本中世史を専門とし、さまざまなメディアで歴史の魅力を広めています。著作には『日本史のツボ』や『黒幕の日本史』など、多数のベストセラーがあります。彼の新刊『東大生に教える日本史』は、そのユニークな視点で歴史に新しい光を当てているのです。
【書誌情報】
- - 書名:『東大生に教える日本史』
- - 著者:本郷和人
- - 刊行:2025年2月20日
- - 定価:990円(税込)
- - 判型:新書判
- - 頁数:256
- - ISBN:978-4-16-661483-7
- - 書誌URL:文春新書