裕福さが隠せない親子関係を描く新刊『余命300日の毒親』
2023年5月21日、株式会社KADOKAWAから新刊コミック『余命300日の毒親』が発売され、読者の注目を集めています。著者は、温かな家族関係を描いた作品で知られる枇杷かな子氏。この新作は、彼女自身の介護体験を基にした「セミフィクションコミック」として、独自の視点から家庭内の複雑さに光を当てます。
家族の未来を考える
本書のストーリーは、大嫌いな父親ががんで余命1年と宣告されるところから始まります。主人公のヒトミは、暴力を受けて育った父親の介護を避けたいと考え、できる限り関わらない道を模索します。しかし、要介護認定が下りることは難しく、ヒトミは意に反して介護に巻き込まれてしまいます。
この物語は、親子間の通信領域の難しさをリアルに描いています。「逃げたい」という感情と向き合いながら、恋愛や仕事、家事育児などの現実と鬩ぎ合うヒトミの姿に、多くの読者が共感を覚えることでしょう。著者の枇杷かな子氏は、介護の厳しさがもたらす心の葛藤を見事に表現しています。
読者を魅了するキャラクター達
ヒトミは、介護という重責に向き合いながらも、周囲との関係性によって揺れ動く若い女性の姿です。父の無神経で横暴な態度に対する反発心と、少しずつ変化していく心情が、ストーリーを通じて彼女を成長させていきます。この点が、作品の大きな魅力となっています。
また、監修・解説を担当した介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんは、介護現場に精通しており、ヒトミの状況にリアリティを加えています。彼女の解説があることで、物語の深層部分へ視点をもたらし、単なるフィクションにとどまらない説得力を持つ作品に仕上がっています。しかし、ストーリーは単に介護に重きを置いているわけではなく、家族の再生を目指すヒトミの成長物語でもあるのです。
書誌情報と著者プロフィール
『余命300日の毒親』は、定価1,540円(本体1,400円+税)でA5判・176ページ。ぜひ、Amazonで購入してみてほしい一冊です。著者・枇杷かな子氏は、繊細で温かい作風が特色で、これまでにも『アゴが出ている私が彼氏に救われるまで』や『ただいま。おばあちゃん』などを発表しています。
介護というテーマに勇気をもって取り組んだこの新刊は、多くの人々にとって心に残る作品になることでしょう。家族論や介護について考えさせられる内容に、ぜひ注目してください。