渋谷慶一郎の新作オペラにシャーロット・ケンプ・ミュールが特別出演！

渋谷慶一郎の最新アンドロイド・オペラにシャーロット・ケンプ・ミュールがゲスト参加

2025年11月5日（水）、サントリーホールにて渋谷慶一郎が手掛けるアンドロイド・オペラ『ANDROID OPERA MIRROR ー Deconstruction and Rebirth ー解体と再生』が開演します。この公演には、グラミー賞を受賞したベーシスト、シャーロット・ケンプ・ミュールが特別ゲストとして参加することが決定しました。

シャーロットは、ショーン・レノンとのデュオ“The Ghost of a Saber Tooth Tiger”や、グラミー受賞アーティストであるセイント・ビンセントのベースを担当するなど、多彩な活動で知られています。音楽、ファッション、テクノロジーといった分野を横断する彼女のパフォーマンスが、渋谷慶一郎の作品にどのような新たな視点をもたらすのか大いに期待されます。

公演では、アンドロイド・マリアと共にエレクトロニクスやリーディングに携わり、人間と非人間、音楽と身体を結ぶ象徴的な存在として登場します。この公演のために、ケンプ・ミュールらがAIを用いたティザー映像の制作も手掛けており、渋谷とのコラボレーションが始まっています。AIアニメーション & ビデオ編集は、シャーロット・ケンプ・ミュールおよびセージ・モレイにより行われています。

また、公演に先駆けて、渋谷慶一郎自身が執筆した作品解説プログラムノートも公開されました。以下にその内容をまとめます。

プログラムノートの内容

渋谷は、人型ロボット・アンドロイドとの仕事が10年近くにわたり続いていることを振り返り、アンドロイドはただの劇場作品のアイコンにとどまらず、開発中の楽器のような存在として彼の創作に影響を与えていると語ります。アンドロイドの身体表現は自然な動作を実現する一方で、他の運動においては限界を感じており、自身が望む動きと相貌を兼ね備えたアンドロイドの創造についての欲望が強くなっていると明かします。

渋谷はまた、「死はひとつではない」というテーマがアンドロイド・マリアを通じて表れることに言及し、自身の芸術に込める願いや、作品が生と死の境界をどのように描くかに対する考察を深めています。彼はアンドロイド・オペラの背後にある思想について、自身の生死に対する考え方の変化も影響していることを示唆します。この公演は、2022年からの巡回公演を基に新たに解体・再構築された要素を含んでおり、全体にわたるナラティブなストーリーは持たず、各曲ごとに別々のテーマが描かれます。

「MIRROR」を制作した際、その終わりが近い未来にあると感じていた渋谷ですが、最近の彼の認識は、「終わりはすでにここにあるのではないか」と変化しています。彼は、未来のテクノロジーが涵養する新たなスピリチュアリティの中で音楽がどのように位置づけられ、聴衆に何を訴えかけるのかを考え続けています。

公演の中でアンドロイド・マリアは浮遊し、参加する僧侶たちの声明と、電子音楽とオーケストレーションが融合し、観客に新たな体験を与えることでしょう。この新作オペラが、音楽とテクノロジーが交錯し続ける現代において、どのように生の新しい形を提示するのか、未来への希望を感じさせる役割を果たすのか期待が高まります。