シェイクスピアの新訳『冬物語』と『シンベリン』が新たに登場
株式会社KADOKAWAは、2023年10月24日にシェイクスピアの名作『新訳冬物語/シンベリン』を刊行しました。この書籍は、シェイクスピアの代表作であるロマンス劇2作品を新たに訳したものです。翻訳を手がけたのは、東大の教授でありシェイクスピア研究の第一人者として知られる河合祥一郎氏です。彼は、日本シェイクスピア協会の元会長でもあり、その業績は広く認められています。
ドラマ「もしもこの世が舞台なら」でも取り上げられる
注目すべき点は、現在放送中のドラマ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこになるのだろう」(フジテレビ)の第7話から、劇中劇として「冬物語」が取り上げられることです。ドラマの脚本を手がけた三谷幸喜氏は、シェイクスピアの作品の魅力を存分に引き出し、観る者に新たな視点を提供しています。
河合氏によれば、ドラマ内で描かれる「冬物語」は、シェイクスピアの他の有名な3作品(「マクベス」、「リア王」、「ハムレット」)の要素を巧みに取り入れた、見事な構成がなされています。このドラマは、ただ作品を再現するだけでなく、シェイクスピアへの深い理解を反映しており、制作者や登場人物たちの知識を伺い知ることができます。
シェイクスピアと「冬物語」の深い関係
シェイクスピアが「冬物語」を書いた時期は、彼の人生の終焉に近づいており、この作品には彼自身の経験が色濃く反映されています。河合氏は、シェイクスピアの人生と「冬物語」のテーマに密接な関連があると触れました。特に、シェイクスピアが家庭を捨て、長い年月を経て戻ってきたという人生の出来事は、作品の中でも特に重要なテーマとなっています。
「冬物語」においては、主題として嫉妬や許しが描かれ、シェイクスピアが自身の人生の苦悩をどう表現したのかが詮索されることとなるでしょう。この作品を新訳で読むことで、より深くシェイクスピアの思想や人物像に迫ることができるのです。
本書を手にする理由
新訳本『冬物語/シンベリン』は、シェイクスピア後期の傑作を網羅しており、日本初となるライムにこだわった翻訳が特徴です。声に出して読むと心地の良いリズムが感じられ、シェイクスピアの作品をより楽しめる内容となっています。また、嫉妬や家族の破壊、誤解と和解など、重いテーマを扱いながらも、キャラクターを通して再生の可能性を探る姿勢が際立っています。
河合氏が著した「訳者あとがき」では、シェイクスピアの人生と彼の作品がどのように交差するのか、さらに詳しく解説されています。ドラマファン、シェイクスピアファン両方の視点からこの新訳を楽しむことで、より深い理解が得られることでしょう。
書籍情報
『新訳冬物語/シンベリン』は、河合祥一郎訳により、448ページの分厚いボリュームで発売されます。定価は1,386円(本体1,260円+税)で、シェイクスピア作品を存分に味わうための一冊です。
最後に
シェイクスピアは、エンターテイメントの原点とも称される存在であり、その作品は現代においても多くの人々に愛されています。今回の新訳は、シェイクスピア作品を深く理解し、新たな視点で楽しむ機会を提供してくれるでしょう。この機会にぜひ、彼の作品に触れてみてはいかがでしょうか。