ウィーン・フィル、陸前高田市で心温まるコンサートを開催

2025年11月9日、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバー9名が岩手県陸前高田市を訪問し、「こどもたちのためのコンサート2025」を実施しました。これは同基金が設立されて以来、継続された活動の一環です。この訪問は、ウィーン・フィルが震災後の支援を続ける中、特に音楽を通じた復興の重要性を再認識する機会となりました。

ウィーン・フィルは過去にも宮古市や山田町を訪問しており、今回は10年ぶりに陸前高田市を訪れました。公演の一環として、まずは東日本大震災津波伝承館を見学しました。ここでは津波の恐ろしさを実感すると同時に、その教訓から未来に向けていかに知恵を育んでいくかを考えるきっかけを得た様子でした。

記念の献花と演奏

東日本大震災津波伝承館の見学後、楽団員たちは高田松原津波復興祈念公園へ移動し、献花を行いました。さらに、陸前高田市の東日本大震災追悼施設・刻銘碑でも献花とともに、ヴァイオリン奏者ベンジャミン・モリソンによるバッハの演奏が行われ、犠牲者への哀悼の意を表しました。

この日は、地元のこどもたちを招待したプレイベントも開催され、岩手県立高田高校の吹奏楽部メンバーらがウィーン・フィルの楽団員から直接音楽指導を受け、交流を深めました。楽団員は、音楽を通じて子どもたちの成長を支え、次世代の音楽愛好者を育てることが目的です。

コンサートの準備

午後からは、「こどもたちのためのコンサート2025」が奇跡の一本松ホールで開催されました。このホールは、2011年の東日本大震災で全壊した旧市民会館の跡地に新たに建設されたもので、多くの希望が込められています。約300名の子どもたちが参加し、特別な体験を享受しました。

コンサートでは、ウィーン・フィル楽団員がヴァンハルのオーボエ四重奏曲やラハナーの九重奏曲を演奏し、参加者たちはその音楽に魅了されました。具体的には、演奏を通じて多くのプロの演奏家から直接的な指導を受けることで、子どもたちは将来への音楽との関わり方を考える貴重な機会を与えられました。

音楽の力

ウィーン・フィルの楽団長ダニエル・フロシャウアー氏は、地元での経験を通じ、音楽が人々の心にどれほど深く響くかを改めて実感したと語りました。「音楽が語り始める時、言葉が途切れる」との言葉に込められた思いを強く感じたそうです。

今回の活動は、ウィーン・フィルとサントリー音楽復興基金との連携を通じて、音楽が人々の心をつなげ、希望をもたらす力を再確認する機会となりました。これからも彼らは音楽を通じた復興のための活動を続けていくことが期待されています。音楽が未来の世代をつなげる架け橋となることでしょう。