澤田瞳子の新作連載小説『暁を踏む馬』始動
直木賞作家の澤田瞳子さんが、再びその筆を振るう。彼女の最新作となる小説『暁を踏む馬』が、産経新聞の朝刊で2024年4月1日から連載されることが決定した。これは澤田さんにとって7回目の新聞連載小説であり、1日ごとに物語が展開される。
この作品は、東京・日本橋に所在する古美術店「壺中居」の共同創業者であり、中国陶磁器の美的価値を広めた美術商・広田不孤斎を題材としている。広田は1897年に生まれ、1973年に亡くなったのだが、彼の人生を通じて、大正から昭和にかけての日本が経験した数々の激動を描き出していく。
歴史が動く時代の中でのストーリー
物語は、関東大震災や戦争などの大きな災厄に見舞われた東京を舞台にしている。この背景の中で、広田が「壺中居」を立ち上げ、伝説の美術商として名を馳せる様子が描かれる。彼の盟友との波乱万丈な人生の軌跡が、時代を行き来しつつ描写されることで、歴史的な重みと感動を秘めた作品へと仕上がる。
挿絵は、画家の大前純史さんが手がけるとのこと。挿絵が付くことで、読者は視覚的にも物語に引き込まれ、新しい表現の可能性が広がることが期待されている。澤田さん自身は、この挿絵の存在が物語をより豊かにしてくれると語っている。
澤田瞳子さんの作家としての思い
澤田瞳子さんは、1977年に京都で生まれ。同大学の文学部を卒業後、文化史学を専攻して学び、作家としての道を歩み始めた。彼女は『孤鷹の天』で中山義秀文学賞を受賞した後、多くの歴史小説を発表し、2021年には『星落ちて、なお』で直木賞を受賞するなど、その評価は確固たるものとなっている。
彼女は「新聞連載を書くときは、毎回楽しみながら、それぞれのエピソードの山場を作っています。挿絵によって意外な表現の扉が開くことも魅力です。今年は昭和100年にあたるため、改めて昭和という時代に焦点を当てた作品にできればと思っています」と、その創作に対する熱意を語った。
新たな挑戦が始まる澤田瞳子さんの連載小説『暁を踏む馬』。その出来栄えがどうなるのか、楽しみにしたい。