名作『東京物語』、朗読劇として蘇る
2025年2月5日(水)、Classic Movie Readingシリーズの一環として、小津安二郎監督の名作『東京物語』の朗読劇が上演されます。これまでに『ローマの休日』、『自転車泥棒』、『風と共に去りぬ』、『若草物語』と、世界的に有名な映画が舞台へと変貌を遂げた本シリーズ。今回のvol.4では、初めて邦画が取り上げられ、昭和の家族の絆を再考させる感動的な作品が披露されます。
演出は野坂実、脚本は鈴木智晴が務めます。主演には愛月ひかるが選ばれ、中尾隆聖、白石珠江、斉藤レイ、平田裕香、広瀬登紀江、馬場良馬、内海光司といった豪華な顔ぶれが揃っています。これらの実力派キャストが一堂に介し、作品にどのような命を吹き込むのか、多くのファンが期待を寄せています。
ゲネプロでのキャストの声
開幕に先駆けて行われたゲネプロと囲み取材では、キャスト陣が自身の心境を語りました。愛月ひかるは「この劇場はちょうど一年ぶりですが、クラシカルな雰囲気が作品に合っていると感じます。短い稽古期間の中で、緊張感を持って取り組んできました」と述べ、初の日本人女性役に挑む意気込みを見せました。彼女はまた、経験豊かなキャストから多くを学びながら成長していきたいと語りました。
中尾隆聖も始まる舞台に期待を寄せ、「家族の絆の物語であるため、見終わった後に大事な人に電話したくなるような、そんな作品にしたいです」と話しました。また、初舞台を迎える内海光司は「顔合わせからすぐに通し稽古という勢いのある現場でした。これを大事に千秋楽まで続けたいと思います」とテンション高く決意を表明しました。
作品への共感と家族の思想
作品に込められた家族のつながりや、70年余り前の時代と今の共通点についても語られました。内海は「人間の本質は変わらないということを教えられました。『会いたいと思う人にはすぐ会いに行くべき』だと感じます」と述べ、観客にも同じ思いを喚起したいと意気込みを見せました。
さらに、キャストそれぞれの共感できるキャラクターについての質問には、斉藤が「志げという役は杉村春子さんが演じていた役で、今の自分にとって特に共感します」と答え、自身の親との関係を振り返りました。平田裕香は、中尾の声が亡き祖父に似ていると言い、「おじいちゃんと時間を過ごせなかったことを思い出させます」とコメントし、観る人それぞれの感情に響く物語であることを強調しました。
稽古のエピソード
稽古場の雰囲気についても触れられ、広瀬登紀江は「全体的に和やかな雰囲気でした」と語り、馬場良馬も「毎日の稽古が非常に有意義でした。時代背景を学びながら、同じイメージをお客様にも届けられればと思います」と期待を語りました。
最後に
愛月は「時代を超えて愛される作品として、皆さんと一緒に挑めることを誇りに思います。観る人々があたたかい気持ちになれるよう、心を込めて準備しています。ぜひ楽しみにしていてください」と締め括りました。
朗読劇『東京物語』の魅力
この朗読劇は、戦後日本における家族生活の変化を描いた作品で、声と表情を使い分けることで、キャラクターの個性や物語の情景を豊かに表現します。愛月の穏やかさや中尾と白石の夫婦感がそのまま伝わり、キャスト全員が持つ個性によって、それぞれの立場や思いが色濃く描かれています。観客はその内容に共感し、自らの家族や大切な人に思いを馳せることでしょう。
『東京物語』は、古き良き昭和の時代の物語でありながら、現代にも通じる普遍的なテーマが詰まっています。この作品を観ることで、家族や大切な人への思いを再確認し、心温まるひと時を過ごすことができるはずです。ぜひ、その感動を劇場で体験してみてください。