株式会社MBKデジタルが株式会社TBSテレビとタッグを組み、生成AIを活用した新しい自動レポーティングソリューション「AIレポート」を開発しました。このプロジェクトは、TBSがレポート作成業務の効率を高め、レポートの質を向上させるために、MBKデジタルに依頼したことから始まりました。
挨拶に続いて、TBSはその持つ配信ビッグデータを集約したTBS-DMPを活用し、どのように生成AIによって実務で使えるインサイトを引き出すかを目指しました。MBKデジタルは、自社の生成AIに関する知見とTBSの現場からのフィードバックを融合させ、ビジネスでの適用可能性を広げるべく取り組みました。
具体的には、TBSが提供したBigQueryのデータを基に、MBKデジタルがAIレポートを設計しました。さらに、TBSからの実運用に即した視点を反映させ、MBKデジタルがプロンプト設計を行いました。これにより、実践的で高精度なレポート自動化の仕組みが構築されたのです。
TBSでは、毎週月曜日に経営会議などで使用する定例レポートの作成が行われており、特に週明けの忙しい時間帯に業務負荷が生じることが大きな課題でした。そこで導入された「AIレポート」は、BigQueryとGeminiを活用し、単に数値を集計するだけではなく、過去の傾向や背景情報を基にした分析コメントをAIが自動で生成します。この仕組みはレポートの標準化と品質保証を実現しつつ、担当者の負担軽減に寄与しています。
「AIレポート」は、ただのデータ整形にとどまらず、さまざまなデータを集計し、Geminiが視聴の傾向や過去の実績と照らし合わせた文脈情報も考慮に入れた出力を行います。これにより、従来のBIツールでは難しかった“文脈を読む”作業をAIが行うことが可能になり、業務デジタルトランスフォーメーションの先駆け的な例として注目されています。
MBKデジタルのデータアナリティクス事業部シニアアナリストである松本祥三氏は、一般的なBIツールは数値の出力に留まることが多いが、実際に人間が判断基準に基づく評価までを自動化できる点こそが「AIレポート」の真髄であると説明します。今回のプロジェクトがTBSのように精度と品質が求められる現場での挑戦であったことが、この取り組みの新しさを強調しています。
今後MBKデジタルは、テレビ業界のみならず、定期的なレポート作成に課題を抱えるさまざまな業種に向けて「AIレポート」の普及を進めていく考えです。既存のBIツールでは得られなかった分析コメントの自動化を実現することで、業務の品質とスピードの両立を図り、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進していく予定です。