被爆から80年、歴史を見つめなおす多様な取り組みが始動
株式会社朝日新聞社は、戦後80年という歴史的な節目を迎えるこの夏、第2次世界大戦および太平洋戦争に関する多様なコンテンツをデジタルと紙面で展開することを発表しました。この企画は、現在の世界が抱える不安を考慮し、歴史を学ぶことの重要性を伝えることを目的としています。
被爆者の証言をつむぐ
朝日新聞社は、今年、中国新聞社や長崎新聞社と共に「全国被爆者アンケート」を実施し、その結果をもとにした連載「つむぐ」を展開しています。この企画では、原爆によってもたらされた影響を一人ひとりの人生の物語を通して描くことを目指しています。アンケートに参加した被爆者の中には、原爆による身体的或いは精神的傷跡、さらには社会的な差別に関する証言を行った女性もおり、彼女たちの声は今を生きる我々にとって非常に貴重です。
さらに、広島・長崎に原爆を投下した航空機が飛び立った北マリアナ諸島のテニアン島に記者を派遣し、80年後の原爆に対する認識の変化についてのルポも行っています。つむぐの詳細は、朝日新聞社のウェブサイトで確認できます。
年間企画「100年をたどる旅」
昨年から始まった「100年をたどる旅未来のための近現代史」という年間企画も続行中です。この企画では、アメリカの政治史や経済史を背景にした日米関係について考察を行う「米国という振り子」編を、終戦記念日である8月15日以降に展開予定です。ここでは、当時の関係者や日米の識者からの証言をもとに、歴史の流れを骨太に描いていく予定です。
総力戦研究所の考察
また、開戦前に設立された「総力戦研究所」にも焦点を当て、その研究内容について再考します。官僚らが「日米が戦えばどうなるか」をシミュレーションしていた様子が、結果的には日本の敗戦を予測していたことが明らかになりました。その過程と、それに至る経緯について掘り下げていきます。
デジタル企画「声語りつぐ戦争」
デジタルコンテンツのリニューアルにも着手しています。「声語りつぐ戦争」という企画では、過去の戦争を経験した読者から寄せられた投書や提供された写真をもとに、戦争の経緯や人々の生活を視覚的に再構成しています。キーワード検索機能を搭載し、教育現場でも使えるデータベース型に進化させました。
企画展「ヒロシマ1945」開催中
東京都写真美術館では、朝日新聞社と共同で「ヒロシマ1945」という被爆80年企画展を開催しています。この展示では、原爆の影響で焦土となった広島と、その被害を受けた人々の姿を捉えた約160点の写真と2点の映像が展示され、核兵器の非人道性を訴えます。また、資料も現場に残されている貴重なものです。
企画展は毎週月曜日休館(祝日の場合は開館し、翌平日休館)で、大学生以下は無料で入場可能です。歴史を振り返り、未来を考える良い機会になることでしょう。