ラーメン市場の倒産件数が4年ぶりに減少！期待される再興への道筋

ラーメン店の倒産件数に見る市場の変化

株式会社帝国データバンクの最新調査によると、2025年の1月から9月にかけてラーメン店の倒産件数が46件にのぼり、前年同期の60件から2割以上の減少を記録しました。これはここ4年間で初めての減少となり、倒産件数のトレンドに明るい兆しが見え始めていることを示しています。この結果がもたらす影響について、より深く掘り下げてみましょう。

大淘汰時代からの一服

ラーメン業界では「大淘汰時代」と呼ばれる厳しい時期が続いていました。しかし、最新のデータによれば、特に小規模や個人店における倒産は相次いでいないものの、全体の数字としては少しずつ安定感が戻ってきているのが嬉しいポイントです。とはいえ、実際の店舗数から見ると、個人店の閉業も含めると数多くの店舗が市場から姿を消したことは否めません。

資本力の格差

この間、2025年のラーメン店倒産のうち、約半数が資本金「100万円未満」に該当する企業でした。このことから、小規模な個人店が特に苦戦している様子がうかがえます。一方で、資本に余裕のある中堅以上の事業者は、競争環境において有利な立場を保持していることが明らかです。

経営環境の改善傾向

原材料費や人件費の高騰が続く中、経営環境にはいくつかの好転の兆しが見えてきました。2020年度を基準とした「ラーメン原価指数」では、2025年度は131に達し、前年比で約3割の増加が確認されています。しかし、2024年度の急上昇に比べると、現在の上昇幅は鈍化してきているため、経営者たちは少し余裕を持ちながら新たな戦略を検討する余地が出てきました。

価格戦略の変化

消費者の理解が深まることで、ラーメン1杯あたりの価格引き上げがスポットライトを浴びています。特に、限定メニューやセット商品、ユニークなトッピングの提案によって、1杯千円以上での販売が可能になっています。これにより、トータルで客単価を向上させる戦略が多くの店舗で見られるようになり、それに伴って増益を報告する店舗も増加しているのです。

ラーメン市場の展望

2024年度においては、ラーメン市場全体の売上が7900億円に達すると予想されています。これは10年前の2014年度比で1.6倍もの成長を示しており、確実に市場拡大が進んでいます。今後も新たにラーメン業界へ参入を果たす他業態の事業者や、経営効率を重視した多店舗展開を行う資本系ラーメンチェーンの台頭が予想されます。ただ、逆境を乗り越えた店舗の再興が期待される時期に突入しているとも言えるでしょう。