代表的な箏音楽イベント、象牙を使わない箏コンサートの開催
2025年10月31日、東京ウィメンズプラザホールにて「象牙を使わない箏コンサート~箏曲の地平線を望む夕べ~」が開催されます。このコンサートは、アフリカのゾウの保護と日本の伝統音楽、箏の未来に焦点を当てた初めての試みです。演奏では、新しい素材で作られた箏爪が初めて披露されるほか、アフリカの打楽器とのコラボレーションも行われます。
象牙問題とその影響
近年、象牙の国際取引は厳格に規制されており、ワシントン条約により日本国内での象牙取引の閉鎖が求められています。日本は世界的にも象牙在庫が多く、251トン、すなわち世界の37%を占めています。そのため、日本の象牙市場がゾウの密猟を助長しているのではないかと懸念され、環境団体をはじめとする多くの国から象牙国内市場の閉鎖が求められています。
実際、最近行われたマーケットリサーチでは、日本の消費者の88.3%が象牙製品を今後購入する考えがないと回答し、64.1%が新素材を選ぶ意向を示しています。この傾向は、日本が持つ象牙に対する需要の低下を示しており、環境意識の高まりを反映しています。
新たな素材の開発
今回のコンサートの目玉は、竹由来のセルロースナノファイバー(CNF)を用いた新しい箏爪の披露です。この新素材は、従来の象牙に近い音色を実現し、環境への配慮も考慮されています。コンサートを企画したSera Creationsの代表である眞田典子さんは、象牙に頼らない新たな道を模索し続けています。
「私が箏を始めた頃、先生から象牙の箏爪を使うよう指示され、その必要性に疑問を感じました。しかし、調査を通じて多くの人がゾウの密猟の実態を知らないことに驚きました。新素材であれば、環境に優しい選択となり、多くの人に支持されると思います。」
邦楽界からの見解
邦楽業界の演奏者たちも、この運動に賛同しています。箏奏者の明日佳さんや琵琶演奏家の水島結子さんは、伝統と未来を融合させ、新しい視点を持つことの重要性を訴えています。彼女たちの思いには、環境意識の高まりと、未来の音楽文化を守るための使命が込められています。
コンサートのプログラムと参加方法
当日は、開場後に野生生物保全論研究会が制作した音声番組「生きもの地球ツアー」に参加できます。プログラムには講演と演奏が含まれており、アフリカ伝統曲とのコラボレーションも実施される予定です。また、参加者は一人1500円のチケットを購入することで、親子室で小学生以下の子どもは無料となります。
このコンサートは、単なる音楽イベントに留まらず、象牙に依存しない日本の伝統文化を未来に繋げるための一歩となることが期待されています。皆さんもこのユニークな体験に参加し、音楽を通じて環境保護の大切さを学んでみませんか?