萩尾望都の魅力が詰まったスケッチ画集
少女マンガ界の巨星、萩尾望都がデビュー以来、積み重ねてきたアートの数々を一挙公開するスケッチ画集『萩尾望都スケッチ画集I「ポーの一族」と幻想世界』が、2025年11月27日に発売される。この画集は、デビュー前から近年までのおよそ50年にわたる彼女の貴重なスケッチを厳選し、約170点を収めている。
群を抜く作品群
特に本書の注目は、「ポーの一族」シリーズを筆頭に、「ゴールデンライラック」や「イグアナの娘」、「王妃マルゴ」など、数々の名作を生む瞬間を感じ取れる点だ。それぞれの作品に込められたアイデアや、キャラクターの原型、さらにはセリフやコマ割りまで、創作の細部にわたるスケッチが公開されることで、読者は萩尾の頭の中を旅するような体験ができる。
スケッチには、初々しいデザインや別ヴァージョンと思わしきメモも多く見受けられ、ページをめくるたびに新しい発見がある。素描ならではの流麗な線が描く美しさは、作品に対する理解を深める手助けにもなり、ファンを魅了する要素が詰まっている。
創作過程の重要性
作品がどのように練られ、熟成され、世に出てゆくのかを感じられるこの画集は、単なるアートブックにとどまらない。特にクリエイターを志す人々にとって、萩尾の創作過程を間近で学ぶことができるため、非常に貴重な教材となる。加えて、著者自身によるインタビューやスケッチ解説も収録されており、より深い理解が促される。
続刊への期待
また、本書のリリースを皮切りに、2026年春以降には続刊も予定されている。次に登場するのは『萩尾望都スケッチ画集II「11人いる!」とSF世界』や、『III「トーマの心臓」とドラマ世界』というラインナップで、さらなるスケッチの秘蔵コレクションが期待される。
萩尾望都の人物像
萩尾望都は1949年に福岡で生まれ、1969年に「ルルとミミ」でデビュー。当初から彼女はSFやファンタジーを巧みに取り入れた作品を生み出し続け、数々の受賞歴を持つ。代表作である「ポーの一族」や「11人いる!」では小学館漫画賞を受賞し、さらには文化功労者、紫綬褒章、朝日賞など、名実ともに少女マンガ界の権威として君臨している。
今後も彼女のクリエイティブな活動には目が離せない。マンガの枠を超えたその才能は、新たな領域を開くための扉となるだろう。このスケッチ画集を手に取ることで、萩尾望都の真の創作の旅を共に体験してほしい。