二礼樹の衝撃デビュー作『リストランテ・ヴァンピーリ』
先日、二礼樹(にれ・いつき)氏のデビュー小説『リストランテ・ヴァンピーリ』が発売からたった1ヵ月で三刷を達成しました。この作品は、第二次世界大戦後の国家を舞台に、異色のヴァンパイアミステリーを描いています。短期間での重版は新人作家としては異例であり、その内容の濃厚さが多くの読者を魅了している証拠です。
各界の著名人も絶賛
本作は、第11回新潮ミステリー大賞を受賞したことでも話題となっています。選考にあたった道尾秀介氏、湊かなえ氏、貴志祐介氏といった著名作家たちもその完成度を称賛。「賞創設以来、最高に面白かった」という道尾氏のコメントは特にインパクトを持っています。彼らが選考委員として参加したことも、作品に対する信頼感を高めています。
発売直後からSNS上では賛辞が殺到。また「異様なキャラクター造形」と「魅惑的な世界観」が刺激となり、読者の心を掴みました。「血生臭い物語だったのに、爽やかな読後感があった」という感想も多くあり、読後の印象がまったく異なる点も人気の一因かもしれません。
二礼樹の歩みと執筆動機
二礼樹氏は、1997年に宮城県で生まれました。彼の少年時代は一見、不毛なものに思えた部分もあったようですが、その時期が彼の作品に深い影響を与えたと彼自身語っています。音楽活動も行っていた彼は、ひょんなことから執筆の世界に進出。2019年には新潮ミステリー大賞に初挑戦し、3度目の挑戦で今回の栄光を掴みました。
彼は「速さ」を求めて作品に取り組むようになり、小説という形で音楽のようなダイナミズムを表現したいと考えたそうです。その結果、今回の『リストランテ・ヴァンピーリ』が誕生しました。彼は「ロックの精神」を持ち込み、読者を飽きさせることのない圧倒的な展開を目指しました。
サウンドを言語化し、印象に残る物語に
彼の特徴的な執筆スタイルは、「サウンドを言語化する」ことです。彼は「叫び」や「唸り」といった音の感覚を表現することで、読者を物語の中に引き込もうとしました。彼の意図した通り、物語は非常にピリッとした緊迫感に包まれています。印象的なセリフやユニークなキャラクター群が本作の魅力を引き立てています。
あらすじ
物語は、冷凍された男が生き返るシーンから始まります。その男の視点で語られる物語の中には、解体師のオズヴァルド、金髪のルカ、元王女の殺し屋エヴェリスといった個性的なキャラクターたちが登場し、彼らが織り成すダークで魅力的なストーリーが展開されます。
未来への期待
若干27歳でこのような業績を残した二礼樹氏の今後が非常に楽しみです。彼の作品は単なるエンターテインメントに留まらず、読者に強いメッセージを伝える力を持っています。彼が今後どのような物語を生み出すのか、ぜひ注目していきたいところです。
【書籍データ】