石川直樹が描く「シシャパンマ」
2025年9月9日、平凡社から新たに写真集『シシャパンマ』が発表されます。この一冊は、世界で初めて8000m級の山を全て登頂した写真家、石川直樹氏の長年の業績と冒険を記したものです。特にこの作品は、彼が「最後の山」と位置づけたシシャパンマに至る2度の遠征を描いています。
石川直樹は、2024年10月4日に8027mのシシャパンマに到達し、8000m峰14座に全て登頂したことで新たな記録を打ち立てました。その様子が切り取られた写真集は、死亡率が高く「死の領域」と呼ばれる環境で彼がどのように創作を続けたのかを覗かせます。
石川直樹と困難な旅
この本では、石川が持参した中判カメラと35ミリフィルムカメラの両方で撮影された写真を通じて、ただの登頂記録を超えた深い物語が展開されます。チベットの人々の生活や信仰、そしてシシャパンマの美しい風景が、彼のレンズを通じて巧みに描写されています。
彼の過去23年間にわたる旅は、ヒマラヤの厳しい環境の中で何を含んだのか。また、山麓での人々との交流、そして山々を登ることで得た体験や感情がどのように彼の作品に影響を与えたのか、その核心を本書は伝えています。
NHKスペシャルでの反響
石川直樹氏の登頂記録は、NHKスペシャル『8000mで見た生と死』によっても特集され、多くの視聴者から関心を集めました。その番組では、彼の登山仲間であるシェルパとの絆や遭遇した過酷な状況について詳しく語られ、ただの冒険の物語ではなく、人間の生死を見つめ直す深い内容となっていました。
特に、雪崩による仲間の死や石川の葛藤、そして重いフィルムカメラを担ぎながらもシャッターを切るその姿は、多くの視聴者に強い印象を残しました。
写真集の魅力
登山を通じて体験した石川直樹氏の内面世界、彼が感じた生と死の境界は、この写真集を手にすることでリアルに感じられることでしょう。高山に広がる荒涼とした景色、チベットの風土、風の音や動物たちとの共生を感じることができるこの作品は、読者に「生きる」意義を問いかけます。
著者について
石川直樹氏は、1977年に東京都に生まれ、東京藝術大学大学院を修了しました。彼は人類学や民俗学に興味を持ち、さまざまな場所を旅しながら写真を通じて表現してきました。長年にわたって数々の賞を受賞し、個展も開催している彼の功績は多岐にわたります。
書籍情報と今後の展覧会
- - 書名: シシャパンマ
- - 著者名: 石川直樹
- - 出版社: 平凡社
- - 発売日: 2025年9月9日
- - 定価: 13,200円(税込)
また、重版が決定した前作『チョ・オユー』も注目です。10月4日から発売されるこちらも合わせてチェックしてください。
さらに、石川直樹の写真展「ASCENT OF 142001-2024」も開催中で、8,000メートル級の峰への旅の記録が展示されています。興味のある方はぜひ足を運んでください。
この新刊『シシャパンマ』は、登ることが何かを探求する素晴らしい作品、ぜひ手に取りその世界を体感してください。