340年ぶりに発見されたバッハの新作を鈴木雅明が初演
このたび、日本の名オルガニストである鈴木雅明が、340年の時を超えて発見されたJ.S. バッハのオルガン作品を演奏することが発表されました。この演奏会は、11月23日(日)15:00から東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアルにて開催されるバッハ・コレギウム・ジャパンの第169回定期演奏会の一部として行われます。
記念すべき発表
この新たな曲は、11月17日にライプツィヒのバッハ資料財団からの公式発表により明らかになりました。発見されたオルガン作品は、ブリュッセル王立図書館に保管されていたある筆写譜集の中に含まれており、その内容は二つのチャコーナとして知られています。この発見は、かつてのバッハの弟子が重要な役割を果たしたことによって実現しました。
知られざる作曲過程
バッハが18歳のころ、すなわち1703年前後は、彼が作曲家として急成長した重要な時期でした。今回発見された2曲は、南ドイツ系の伝統と北ドイツの技法を融合しようと試みるバッハの姿を反映しています。特に変奏やオスティナートの結びつき、さらにはカンタータ第150番《主よ、われ汝をあおぎ望む》に似た素材の使用が特徴的で、彼自身の独自の語法を感じさせます。
謎のオルガニストの影響
この新発見の背後には、ある無名のオルガニスト、ザロモン・ギュンター・ヨーンがいました。彼の存在が、今回の作品の認定において重要な役割を果たしたことが明らかとなっています。2023年に「BACH Research Portal」の調査中に発見された1729年の願書には、彼が「1705年から1707年にかけてバッハの弟子」と記してあり、この記録がバッハの作品の成立年代を明らかにする決定的な証拠となりました。
このように、今回の発見により、新たに2つの作品がBWV目録に追加されることとなり、バッハに関する研究の進展にも寄与することになります。75年にわたる研究の成果が結実した瞬間でもあります。
鈴木雅明の演奏に期待
演奏会を主催する鈴木雅明は、この新発見の曲を演奏することに対し強い意義を唱えています。その演奏の中で、彼独特の感性や解釈がどのように表現されるか、ファン待望の瞬間となることでしょう。未だ多くの謎に包まれているバッハの音楽の世界が、今回の初演を通じてさらに深まることを期待しています。
新たに発見された二曲、そしてそれを演奏する鈴木雅明の姿は、クラシック音楽界における一つの大きな希望とも言えます。この記念すべき演奏会に是非足を運びたいものです。