シニア世代の楽器経験についての調査
日本のシニア女性たちの音楽に対する関心が高まっています。株式会社ハルメクが実施した「楽器に関する意識・実態調査2025」によると、50歳以上の女性の74.2%が何らかの楽器を経験していることが明らかになりました。この結果は、シニア世代が音楽に対して強い関心を持っていることを示しています。
鍵盤楽器の人気
調査によると、特に多くの人が経験している楽器は、ピアノやオルガン、エレクトーン、アコーディオンなどの鍵盤楽器です。このグループに属する楽器の経験者は63.0%に達しており、年代別では50代と60代の経験率が特に高いことがわかります。この高い数値には、シニア世代の女性たちが幼少期から音楽教育を受けている影響が大きいと考えられます。
しかし、自由回答の中には「子ども時代のピアノが苦痛であった」という声もあり、音楽教育のプレッシャーが影を落としていたことも伺えます。たとえば、ある参加者は「厳しい先生に泣きながらレッスンを受けていた」と振り返り、また別の方は「母の期待が重く、楽しむ余裕がなかった」とのコメントを残しています。これらの体験は、楽器への向き合い方に影響を与えているようです。
未経験から挑戦したい楽器
一方、今回の調査で未経験ながらも挑戦してみたい楽器として注目を集めたのは「ウクレレ」「バイオリン、チェロ、コントラバス、ハープ」などの弦楽器、そして、「琴、尺八、三味線、和太鼓」といった和楽器でした。特に50代の女性たちは和楽器や打楽器に興味を示し、70代ではクラシックの弦楽器やオカリナへの挑戦意欲が強いことがわかります。このことから、シニア世代の女性たちが新しい挑戦を求めている様子が伺えます。
ウクレレが人気の理由としては、その軽やかさや持ち運びの便利さが挙げられます。実際、「フラダンスを習っているから」「ハワイの思い出と結びついている」といった背景も影響していると考えられています。また、70代の中にはオカリナに挑戦しようとする人も多く、その音色が心を穏やかにすることが魅力とされています。
音楽体験への広がり
自由回答では「ストリートピアノを演奏したい」「ボイストレーニングを通じて歌いたい」といったコメントも寄せられ、シニア女性たちの音楽体験への意欲は楽器演奏にとどまらず、広がりを見せています。特に「第九」を歌いたいという要望は、音楽活動の多様性を示すものです。
専門家の見解と今後の展望
ハルメク 生きかた上手研究所の梅津順江所長は、シニア世代が音楽に対して持つ広範な興味を分析しています。彼女は「楽器を使った音楽活動は新たな市場を形成する可能性を秘めている」と語り、楽器と他の体験を組み合わせた新しい商品やサービスが求められることを指摘します。
このように、シニア世代の音楽活動は年々活発になってきており、音楽を通じたつながりが新しい価値を生み出すことが期待されています。今後、企業側もこれに応じた商品開発やサービス提供を進めることで、シニア女性たちの音楽への情熱をさらに刺激することでしょう。音楽が高齢者の心の豊かさを支える存在として、ますます重要な役割を果たすことが期待されます。