メディアアーティスト落合陽一、初作品集『波と景』の魅力
2025年7月16日、株式会社KADOKAWAからメディアアーティストの落合陽一氏による初の本格的な作品集『波と景』が発売されます。この作品集では、彼が探求してきたテクノロジーと自然の交差点を「デジタルネイチャー」という観点から捉えた内容が収められています。
デジタルネイチャーの探求
落合陽一氏は、芸術を生の軌跡そのものとして捉えています。本書では、彼の考え方を反映させたさまざまな作品が紹介されており、従来の自然観に挑戦する新しい視点を提供しています。彼が手がけるシグネチャーパビリオン「null2」に通じる思索が詰まっており、現代人にとっての自然とは何かを問い直す仕組みがあります。
作品の構成
作品集は「波」「蝶」「華」「鮎」の4つの章に分かれています。各章は自然のモチーフに基づいて整理され、落合氏の代表作《借景, 波の物象化》や《計算機と自然》《可塑庵(ぷらあん)》などが収録されています。これらの作品を通じて、我々の自然観はどう変わっていくのか、その様子を目の当たりにすることができます。
特に、彼の作品は印刷や造本設計にも工夫が凝らされており、まるで一冊のアートピースのように展示することができます。これにより、本書は単なる作品集以上の体験を提供してくれます。
批評的な視点
本書には、特別寄稿として、キュレーターである南條史生氏や、大英博物館でのマンガ展を成功させたニコル・クーリッジ・ルマニエール氏からのコメントも掲載されています。これにより、落合氏の作品を批評的に読み解く材料が提供され、より深く彼のアートを理解する助けとなります。
記録としての価値
さらに、巻末には彼の展覧会歴や全作品リストも含まれており、アートファンにとってアーカイブとしての価値も非常に高い一冊です。落合陽一氏の作品を幅広く網羅し、彼がどのようにしてメディアアーティストとしての道を歩んできたかを知る手がかりになります。
読者へのメッセージ
この本は、アートだけでなくテクノロジーやデザインに興味がある人々にも手に取ってほしい作品集です。落合陽一氏が描き出すデジタルネイチャーの世界観は、未来の視点を提供し、新たな自然観の発見につながることでしょう。ぜひ手に取って、その魅力を直接感じてみてください。
書誌情報
- - 書名:波と景
- - 著者:落合 陽一
- - 発売日:2025年7月16日(水)
- - 定価:7,480円(本体6,800円+税)
- - 判型:A4変形判
- - ページ数:176ページ
- - ISBN:978-4-04-112650-9
- - 発行:株式会社KADOKAWA
著者について
落合陽一(おちあい・よういち)
1987年生まれのメディアアーティスト。彼は境界領域における物化や変換のテーマを用い、独自の作品を展開しています。筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターのセンター長や准教授としても活動しているほか、2025年の大阪・関西万博ではテーマ事業プロデューサーとしても注目されています。