変容した日本の歴史教科書を再考する
最近、『復刻版 初等科国史』という一冊に関心が寄せられています。これは、敗戦後、GHQの影響を受けて書き改められた日本の歴史教科書が、どのように変わってしまったのかを問いかける内容となっています。戦後の歴史教育がどのように進化し、または退化してしまったのか、多くの人が抱く疑問の背景には、理想的な歴史教育の在り方を求める声があります。
GHQの影響による歴史教育の変遷
戦後、GHQによって我が国の歴史教科書は大きく書き換えられました。その過程で、教科書内容は近隣諸国に配慮したものへと変わり、国民の歴史認識が歪むことがありました。このような状況を感じ取った多くの人々が、なぜ歴史には国際感覚だけでなく、自国の文化や伝統を理解する必要があるのかを考えるようになりました。
戦時中の『初等科国史』とは
本書『復刻版 初等科国史』は、かつて戦時中の小学生が学んだ歴史教科書を復刊したものです。旧漢字や旧仮名遣いは適宜改訂され、現代の読者でも読みやすくなっています。戦前の歴史教育には「軍国主義」や「皇国史観」などのイメージがありますが、この書籍にはそれ以外の魅力がたくさん詰まっています。
教育水準の高さ
ページをめくると、驚くべきは教育水準の高さです。日本書紀の一節から始まるこの教科書には、皇室用語や戦後の世代が忘れてしまった重要な言葉が多く使用されています。情報量が非常に豊かで、現代の小学生の歴史教科書とは比べ物にならないほどの深みがあるのです。
文学としての歴史
さらに、本書は美しくリズミカルな文体で綴られ、歴史が神話の時代から続く天皇中心の物語として描かれています。忠臣蔵や曾我兄弟の仇討ち、鎌倉権五郎景正の活躍といった当時の子供たちに親しまれた逸話が盛り込まれ、古典的な講談のような楽しさを教師が教えていたことでしょう。
新たな視点の提供
本書の巻末には三浦小太郎氏による「封じられた歴史書がよみがえるとき」という解説があり、われわれが持つ歴史に対する偏見や先入観を捨て去ったとき、どのように新たな理解が得られるのかを示唆しています。戦後の硬直した歴史解釈の背後に隠れた真実がどのようなものなのか、一人一人が掘り下げて考えるべきだと言えるでしょう。
理想の歴史教科書を考える
この書籍は、今の日本の歴史教育をどのようにして理想的な方向へ導き直すことができるかを考えるきっかけを与えてくれます。我が国の歴史教科書の正しい姿とは、一体どのようなものなのか。多くの人々にとって、想像された通りの内容ではなく、理想を追い求める旅路のスタート地点になることでしょう。
【書籍情報】
書名:[復刻版]初等科国史
著者:文部省
解説:三浦小太郎
推薦:矢作直樹
仕様:A5並製・280ページ
ISBN:978-4802400848
配本:2019.10.01
本体:1800円(税別)
発行:ハート出版
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