カシオ計算機と東京大学の共同研究が明らかにした音楽の脳科学的効果
カシオ計算機株式会社と東京大学先端科学技術研究センター(以下、東大先端研)は、音楽が脳に与える影響を探る共同研究を進めてきました。この研究の最新成果が、3月7日から10日にかけてカナダ・バンクーバーで開催された国際学会「Cognitive Neuroscience Society 2026(CNS2026)」で発表されました。
研究の背景
この研究は、特に音楽と脳のパフォーマンスの関係に関心を持つ両者によって始まりました。カシオは、音楽が日常生活や仕事に与える価値を科学的に解明し、新しい製品やサービスに活かすことを目指しています。2025年に正式に締結された共同研究契約のもと、脳科学的アプローチを取り入れ、音楽が認知機能にどのように影響するのかを探求してきました。
研究の目的
本研究では以下の3つの点を明らかにすることを狙いとしました。
1. 音楽のテンポ(速い/遅い)が短期記憶課題の処理速度と正答率に与える影響。
2. カシオ独自のビート強調アレンジが生理指標や脳活動に及ぼす効果。
3. 電子楽器を使用した認知サポートの可能性。
これらの目的をもとに、被験者が様々な楽曲を聴きながら認知課題に取り組む実験が行われました。
実証実験の結果
実験には、カシオの光ナビゲーションキーボード「LK-530」を使用し、音楽のテンポが脳活動に与える影響を測定しました。結果として、速いテンポの楽曲を聴くことで作業効率が有意に向上すること、逆に遅いテンポの楽曲はリラックス効果を引き出すことが確認されました。この結果は、自己状態の調整に関わる脳の領域(DMPFC)が音楽のテンポに依存して活性化されることを示唆しています。
例えば、速い音楽では心拍数も上昇し、脳と身体が活性化される傾向が見られました。一方で、遅い音楽は心を落ち着ける効果があり、集中力や注意を高めるのに寄与しました。
本研究の意義
この研究の結果は、音楽が私たちの内的状態に影響を与え、それを調整するメカニズムに光を当てるものです。今後、音楽を活用した新しいソリューションの開発に繋がるかもしれません。カシオは音楽と脳科学を融合させた新しい価値を創造し続けることで、より豊かで活力のある社会の実現に貢献したいと考えています。
研究で使用したモデルと方法
使用モデル:LK-530
実施方法
- - 実施期間:2025年10月21日~11月6日
- - 実施場所:カシオ計算機 羽村技術センター
- - 被験者:30名
- - 実験アプローチ:かの音楽を聴きながら認知課題に取り組み、脳血流測定用のNIRSシステム、心拍センサー、アイトラッカーを使用してデータを収集。
- - 測定項目:作業効率、脳活動パターン、心拍変動、瞳孔反応。使用音源は異なるテンポのクラシック音楽やメトロノーム音、無音を含みました。
終わりに
このような研究が進むことで、音楽が私たちの生活に与える影響が今後さらに深く理解され、その成果が新たな製品やサービスへと昇華されることでしょう。カシオ計算機は、その科学的知見を基に音楽と脳科学の融合を進め、社会の健康と幸福を促進するための努力を惜しまないつもりです。