従業員承継の新たなアプローチ
株式会社新経営サービスのシニアコンサルタント上坂研祐が著した新刊『M&Aに頼らない従業員承継入門』が、2025年12月2日に発売される。本書は、経営者が「会社を売却すること」を避けながら、どうやって自社を従業員に引き継ぐことができるかに焦点を当てている。
現代の事業承継問題
最近の社会では、子どもが親の事業を継ぐことが必ずしも一般的とは言えない。雇用市場が変化し、親族が異なる企業で働くことが増えているためだ。帝国データバンクの最近の調査によれば、2025年には内部昇格による事業承継が33%を超え、同族承継を上回る見込みだ。
従業員承継の現状
ただし、経営者が従業員に事業を譲りたいと考えながらも、実際には困難な場合が多い。そこには「価値観の壁」「株式の壁」「感情の壁」という三つの障害が存在する。本書では、これらの障壁を乗り越える具体的な方法が記されている。
1.
価値観の壁: 経営者と従業員の間にある使命感や覚悟の違い。
2.
株式の壁: 後継者が株式を取得するための資金不足。
3.
感情の壁: オーナー家族や他社員との間に生じる複雑な感情。
本書の特徴と内容
上坂氏は、実際の事業承継の現場において、親族内の争いから従業員間のこじれた関係まで、多様なケースに遭遇してきた。その知見をもとに、成功した企業と失敗した企業の実例を分析し、実務に役立つノウハウをまとめている。
本書は次のような構成で進む。
- - 失敗事例: 株式譲渡で創業者が排除されるケースや、保守的な経営が業績を悪化させる問題。
- - 段階的な承継プロセス: 後継者育成や感情の壁をどう乗り越えるか、具体的な手法を示す。
- - 新しい承継の形: コーオウンド・カンパニーの概念を取り入れ、従業員が主導権を握る新たな企業形態についても解説。
- - 全体最適の視点: 財務、組織、家族の観点から、事業承継を総合的に捉えた解決策を提示。
著者の上坂研祐は1993年に京都に生まれ、滋賀大学経済学部を卒業後、経験豊富なコンサルタントとして実績を積んできた。彼の信条は「経営者に寄り添い、思いを具体化する」ことであり、全国の経済団体や業界団体での講演も精力的に行っている。
書籍情報
書名: 『M&Aに頼らない従業員承継入門――トラブルなく社員に会社を継がせる方法』
著者: 上坂研祐
出版社: 中央経済社
発売日: 2025年12月2日
価格: 3,080円(税込)
判型・ページ数: 単行本・216ページ
* ISBN: 978-4502560910
この書籍は、従業員承継を考える経営者にとって、具体的な手法を学ぶ貴重な一冊となること間違いなしである。