ジョージの奇跡の帰還物語
愛犬が行方不明になった飼い主が抱く悲しみや不安は、想像を絶するものでしょう。この度、柴犬ジローの奇跡の帰還物語が新装版として刊行され、光を浴びることとなりました。『帰ってきたジロー〈新装改訂版〉』は、滋賀県大津市から兵庫県西宮市まで、直線距離で約70キロを2年以上にわたって旅した犬の実話です。
犬の飼い主である武内さん一家は、借家からマンションへと引っ越すことになり、当時4歳のジローはお母さんの実家に預けられました。ジローは車に乗せられて引っ越しを余儀なくされたものの、今思えば、その車内での道中が彼の心を強くさせたのかもしれません。賢い犬たちは、嗅覚で記憶したりするのも得意ですが、ジローは自分がいた場所への思いと飼い主への愛情で、帰りたいという思いを燃やしていたことでしょう。
彼はおかあさんとおとうさんに会いたい気持ちを胸に抱きながら、ノラ犬としての生活を生き抜きました。その2年間、行きたいと思う気持ちと、飼い主と過ごした日々を懐かしむ心情が、ジローの強さとなっていったのでしょう。
犬を持つ人々は、自分の愛犬が行方不明になった日には心の底から悲しみを感じ、涙が溢れる経験をしています。犬たちは単なる動物ではなく、家族の一員であり、彼らの存在がどれほど重要であるかを改めて思い知らされます。
武内さん一家にとって、このジローの帰還はどれほどの喜びであったでしょう。帰宅したその日、驚くことに、かかりつけの獣医もその経験に驚き、そこからジローの物語は広まっていきました。その後、新聞にてジローの物語が報道され、犬好きな人々から感謝の手紙が次々と届けられました。
また、この書籍の刊行を機に、ビートたけしさんが司会を務める番組『奇跡体験!アンビリバボー』で再現ドラマ化され、さらには西田敏行さんが局長を務める『探偵!ナイトスクープ』にも取り上げられるなど、ジローの名は多くの人々の心を掴んでいます。
さらに、年齢の観点から見ても、犬は人間の年齢に換算すると、2年で24歳ほどに相当します。ジローはその後、震災も乗り越え、22歳という長い人生を全うしました。人間で言えば百歳を超えたともされるその寿命は、飼い主たちとの絆の深さを物語っています。
本書は、1989年に発売された『帰ってきたジロー』と、2005年の『帰ってきたジローもうひとつの旅』を合本・改訂したもので、さらに愛犬家たちに感動を与える内容となっています。著者の綾野まさるさんは、犬たちの尊厳を大切にした執筆活動で知られており、その素晴らしい作品を通じて、命の重みや家族の絆を多くの読者に伝えています。
ジローのかわいい顔が印刷された口絵を眺めると、心の中で「よく帰って来たな、ジロー。ありがとう」と、思わずつぶやいてしまうことでしょう。
新装本『帰ってきたジロー〈新装改訂版〉』は、2025年12月20日に発売予定です。必見の作品です。