関西大学とTRIGGERが手掛ける新たなアニメ育成システム
関西大学とアニメ制作会社TRIGGER(英字表記:TRIGGER Inc.)が、アニメ業界でも類のない新しい取り組みを始めました。彼らは若手アニメーターの育成を目指し、貴重なアニメーション素材を保存・分析するアーカイブ検索システムを開発中です。このプロジェクトは、アニメ業界の未来を支える若手クリエイターを育てることを目的としています。
アーカイブ検索システムの目的
アニメ制作の現場では、原画や動画などの重要な制作物が長きにわたり保存されることがなく、廃棄されてしまうことが多いのが実情です。こうした中間生産物は、若いアニメーターたちが技術を学ぶ際に非常に貴重な素材であるにもかかわらず、その重要性が十分に認識されていない現状があります。 TRIGGERは、設立当初からこの問題を踏まえ、作品制作に関与したクライアントからの許可を得て、素材を継続的にアーカイブしてきました。このプロジェクトでは、蓄積された膨大な資料を効率的に検索・閲覧できるシステムを構築し、若手アニメーターたちが過去の技術を学ぶための環境を提供します。
技術的背景と研究の進展
本システムは、関西大学の総合情報学部に所属する山西良典教授と学生の吉良山陽太さんを中心としたチームにより、情報検索技術やデジタルアーカイブの最先端研究を活用しています。具体的には、検索履歴を分析することで学習行動をデータ化し、どのような技術がアニメーターにとって魅力的で、どのように学びが進行するかを深く研究します。この取り組みにより、未来のアニメーターたちの技術習得を体系的にサポートし、業界全体のスキルアップにつなげることを目指しています。
初の公開発表に向けた動き
このアーカイブ検索システムは、2025年3月8日(水)に東京で開催されるACTF(アニメ技術開発フォーラム)にて初めてお披露目される予定です。ここでは、システムのデモンストレーションが行われ、業界の関係者や研究者たちに向けて、実際の活用事例が紹介される予定です。これにより、アニメ制作現場での活用が期待されます。
TRIGGERについて
TRIGGERは、2011年に設立されたアニメーション制作スタジオであり、「自分たちが楽しめない作品はお客さんも楽しめない」というポリシーのもと、オリジナルアニメの制作に力を入れています。代表作には『キルラキル』『リトルウィッチアカデミア』『プロメア』『グリッドマンユニバース』などがあり、作品制作だけでなく人材育成にも注力しています。
このプロジェクトを通じて、未来のアニメーション業界を担う若手アニメーターたちが、より良い技術と知識を持って成長できる環境が整うことでしょう。これからのアニメ業界において、TRIGGERと関西大学の連携によるアーカイブ検索システムの発展から目が離せません。