小説『アザラシと海の約束』が12月22日発売
株式会社ハーパーコリンズ・ジャパンが、SNSをきっかけに誕生した新たな文学作品、『アザラシと海の約束』を2025年12月22日に全国書店で販売開始します。この小説は、オランダのアザラシ保護施設「WEC:ワッデン海世界遺産センター」、通称アザラシ幼稚園を舞台にしています。SNSで広がった熱狂が国境を越え、オランダの作家スーザン・ムスケ氏によって物語が描かれるという、現代の出版の形を象徴する作品です。
企画の背景
2024年8月、一つのX(旧Twitter)の投稿が波紋を広げました。この投稿をきっかけに、オランダのアザラシ保護センターのライブ配信が日本で急速に注目を集め、視聴者が殺到。寄付も急増し、センターの職員は「通常の1か月分の寄付を1日で集めた」と語るほどの反響を呼びました。YouTubeアカウントの登録者は短期間で3,000人から42万人に増加。投稿は5,700万回以上のインプレッション、26万以上の「いいね」を獲得し、SNS発の社会現象となりました。
このブームを受けて、2024年9月に日本とオランダの編集者間で「アザラシ幼稚園」の話題が浮上。日本側が「実際のアザラシ幼稚園を題材にした物語を描いてほしい」とリクエストし、それに応えたオランダの編集部がスーザン・ムスケ氏を起用。日本のファンが使用していた特有の用語やファンアートなど、現地の風景と日本のファンの思いを融合させた物語が形になりました。
あらすじ
物語の主人公、ミアは子供の頃からアザラシに魅了されていました。ついに念願かなってワッデン海世界遺産センターで働くことになりますが、著名な海洋生物学者である父の期待に背き、研究者ではなく保護活動を選んだ彼女は、自信を持てずにいました。ある日、母親とはぐれたアザラシの赤ちゃんが保護され、ミアはその子に希望を託して「キコ」と名付けます。ミアは、キコを海に返すために奮闘することを誓います。次第に、アザラシたちの動画配信には視聴者が急増し、日本からの応援メッセージが届くことになります。
書籍の特徴
『アザラシと海の約束』には、初回限定特典としてWEC提供のアザラシの写真を使用したクリアしおりが付きます。さらに、本書は読者が「自分たちの物語」として共感できる内容となっており、現実の出来事をフィクションに取り入れることで、より深い没入感を提供します。また、一部の収益はWECの活動支援に寄付されます。
国際的トピックとして、日本発のブームが小説化されたニュースは、オランダメディアでも注目されています。オランダの編集部では、スーザンがアザラシの魅力や、アザラシたちを守るスタッフの姿をユーモアと愛情を持って描いていると評価されています。
この一冊はアザラシファン必読の本です。ミアの視点を通じて、アザラシたちの成長や保護活動の苦労を共に感じることができ、また本作を通じて私たちも何かしらの形で手助けをすることができる。この作品はただの小説ではなく、国を越えた「癒しの連鎖」を実現する可能性を秘めています。
まとめ
『アザラシと海の約束』を通じて、この作品が我々に伝えたいメッセージは、アザラシたちへの愛情や保護活動の重要性、そして国や文化が違っても人々が抱く思いが共鳴しあう姿です。新しい形の出版物として、ぜひ手に取って読んでほしい一冊です。