彫刻家・髙橋銑の個展「条痕板」が表参道で開催！

髙橋銑の個展「条痕板／Streak Plate」が表参道で開催予定

2025年4月25日から5月31日まで、表参道の「アザワイズギャラリー」で彫刻家・髙橋銑（たかはしせん）の個展「条痕板／Streak Plate」が行われます。この展覧会では、彫刻の保存修復にも携わる髙橋の新作シリーズが初めて公開される予定です。

髙橋は、2023年に現代芸術振興財団の「CAFAA賞」でグランプリを受賞した実力派のアーティストです。その後、NYでのレジデンスプログラムにも参加し、彼の彫刻作品と保存修復での経験が融合した新たなアプローチで作品を発表しています。彼の作品は、物質が消えていく過程や、記憶に残る痕跡についての深い考察を示しています。

時間と記憶の痕跡を映し出す彫刻

本展では、大理石や腐食性金属（銅、真鍮、鉄）を用いた作品が展開されます。特に金属の酸化によって生じる錆が石の表面に沈着し、それが自然現象と作家の制作意図とを交差させる様がテーマです。作品は、物質の変化の過程自体を提示することで、時間の蓄積や物事の消失を可視化しています。展覧会のタイトル「条痕板」は、保存修復での筋状の痕跡から着想を得たもので、鉱物識別に用いられる実在の言葉でもあることが分かりました。これにより、「観察によって痕跡から本質に迫る」というテーマが明確になり、作品がより深い意味を持つことになりました。

例えば、作品「条痕板No.1」では、大理石の中に金属の酸化が生じた色や染みが巧みに組み込まれています。また、街の中で日々目にする自然の痕跡や、アート作品の持つ背景を考えさせる要素がこの作品には込められています。

髙橋銑のアートへの思い

「錆は金属によって異なる色合いを持ちます。私がこの展覧会で表現したいのは、その美しい変化です。この作品を通じて観覧者が、物質の変化やその歴史を感じ取ってくれればと思っています。」（髙橋銑）と、彼は語ります。

この個展は、静かながらも深い含蓄を持つ作品群で構成されており、観賞者に新しい視点を提供するものとなります。