自然環境の変化と里山の重要性
私たちの生活に密接に関わりながらも、その存在が次第に忘れられつつある「里山」。自然環境の激変がもたらす獣害や外来種の侵入は、近年ますます深刻な問題となっており、その背後には里山の荒廃が潜んでいます。2025年11月20日、有限会社ベレ出版より発売される新刊『一冊でまるごとわかる「里山」入門』では、これらの問題の根源に迫り、里山の重要性を再認識させることを目的としています。
里山の役割とその荒廃
「里山」は、日本の国土の約40%を占め、ムラ(居住)、ノラ(生産)、ヤマ(資源採取)の三重構造から成り立っています。人間の生活を支える薪や炭、肥料、食料を供給すると同時に、多様な生物の生息地を形成することで、生物多様性を維持しています。しかし、ここ数年の農業従事者の減少や都市化の進展により、耕作放棄地は42万ヘクタールを超え、雑木林の管理が難しくなりつつあります。これにより、獣害による農作物被害が年間164億円に達し、野生動物の都市部への出没や外来種の侵入など、さまざまな問題が引き起こされています。
新刊『里山入門』の見どころ
本書『一冊でまるごとわかる「里山」入門』は、里山の成り立ちから生態系、現代の課題、さらには保全の取り組みについて、科学的・歴史的・社会的な視点を元にわかりやすく解説しています。著者の富田啓介氏は、長年にわたり里山の実地研究を行い、その経験を基に具体的なデータや事例を紹介し、読者が理解しやすいように構成されています。里山が持つSDGsとの関連性や、国際的な保全動向に至るまで幅広いテーマに触れ、地域住民との連携事例や自然環境の具体的な保全活動も取り上げられています。
誰におすすめか
「里山って何?」といった基本的な知識が必要な方や、環境問題に関心を持つ方、さらには教育現場で自然と人の関係を教えたい方にとって、この書籍は貴重な情報源となるでしょう。本書は専門書特有の難解さを排除し、写真や図解が豊富に盛り込まれているため、初めて里山について学ぶ方でも理解しやすい内容です。この機会に、新たな知識を得て、里山の保全に向けた意識を高めてみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
著者の富田啓介氏は、1980年生まれの地理学者であり、名古屋大学大学院環境学研究科を修了。現在はフリーランスの研究者として、里山湿地研究所を代表しながら環境保全に取り組んでいます。著作も多数あり、地域住民との協働活動を通じた実践的な知識を提供しています。家庭菜園や山歩きを趣味とし、保育園と小学校に通う3児の父としてもたくましく活動しています。
書籍情報
- - 書名:一冊でまるごとわかる「里山」入門
- - 著者:富田啓介
- - 定価:2,090円(税込)
- - 発売日:2025年11月20日
- - ISBN:978-4-86064-807-7
- - 発行元:有限会社ベレ出版
- - URL:公式サイト
この秋、ぜひ手に取ってみてください。里山の持つ深い魅力と、その保全の重要性を再認識する絶好の機会となることでしょう。