滋賀県近江八幡市が舞台となったアニメーション「観音正寺の人魚伝説」の上映会とフィールドワークが行われました。このイベントは、一般社団法人日本昔ばなし協会と日本財団が手掛ける「海ノ民話のまちプロジェクト」の一環として、2025年2月2日に行われました。参加者は地元の小学生16名とその保護者で、次世代に豊かな海を引き継ぐことを目的とした活動の一環として、地域の伝説に触れる貴重な機会となりました。
上映会では、聖徳太子が西の湖で人魚と出会うという内容から、子どもたちはその魅力に引き込まれました。監督の沼田氏はビデオメッセージでアニメ制作の裏側を語り、子どもたちが質問した「どうやってアニメが制作されるのか」に対し、制作に関わる多くの人々の努力があることを伝えました。参加した子どもたちは、アニメを観た感想として「魚を独り占めしようとしてバチが当たった」という教訓に心を動かされ、「魚を大事にしたい」と感じたことを明かしました。
また、観音正寺の住職である岡村遍導氏による人魚伝説の解説もありました。寺に伝わる人魚や聖徳太子のお話が、絵巻や民間伝承を通じてどのように伝わってきたのかを説明し、西の湖の美しい景色は大人になったときの心の支えになるというメッセージが印象的でした。さらに、郷土料理を伝える大野きよ美氏が、自身の子ども時代の安土地域の話をしてくれ、地区の豊かな漁業文化や舟との関わりについても触れました。
フィールドワークでは、西の湖の自然を体感するため、舟に乗って湖面を巡りました。この日は穏やかな天候にも恵まれ、参加者は湖の風景を楽しみながら、地域文化との深いつながりについて学ぶ機会が提供されました。特に葦の生息状況や、湖の泥を使った生活資材についての説明では、昔の人々が利用していた文化や、今では少なくなった知恵の重要性が強調されました。
この特別なイベントを通じて、地域に根付いた民話をアニメーションという形で次世代に引き継ぐだけでなく、子どもたちが地域の文化や自然環境に対して興味を持ち、意識を高めるきっかけを提供することができました。「海ノ民話のまちプロジェクト」は、このような取り組みを全国に広げていくことで、日本の民話や伝説の重要性を再認識させ、地域の未来を担う子どもたちに大切なメッセージを伝えていくことを目指しています。