被爆80年の節目に創られたミュージカル「LIGHT YEARS -幾光年-」
去る2025年7月31日と8月1日の二日間、都倉俊一によるオリジナルミュージカル『LIGHT YEARS -幾光年-』が東京・有楽町のI'M A SHOWにて上演されました。この作品は、広島・長崎の被爆体験を基にした4世代にわたる家族の物語を描き、感動のトライアウト公演として全3回ともに満席でした。
繋がる命の物語
このミュージカルは、長崎で被爆し、原爆症に苦しみながらも、アメリカ人との間に子供を産むため命をかけた母親ヒデコ(愛加あゆ)、その娘ハナ(坪井木の実)、そして孫娘のヒデミ(大原櫻子)が主人公です。松坂慶子が語り部役として特別出演することで、物語の深みを増しています。
この作品のメッセージは、長崎の物語を世界に伝え、未来への平和の祈りを新たに発信すること。ミュージカルは、ファミリーヒストリーや家庭内の葛藤、和解のプロセスを描きながら、観客に思考を促します。特に、アメリカ軍人の父マーシャル(相葉裕樹)と日本軍人の叔父ハヤシ(広田勇二)との確執は、視聴者へ強い印象を与えました。
公演の詳細
リーダーであり、この作品の原作者、作曲家である都倉俊一は、30年以上も続く『OUT OF THE BLUE』の再構築を経て、被爆80年の契機にこの新作を創り上げました。公演の後、彼は「平和の思いをこの作品に込め、未来へとつなぎたい」と言葉を残しました。
私たちの知らない過去、特に戦争の現実が若い世代にどのように影響しているのかを見つめ直す機会を提供するミュージカルであったことが、多くの観客に感動を与えました。ハナが過去を振り返り、家族の遺産とを若いヒデミに伝えていく過程が特に印象的で、その葛藤を通して「家族の絆」の重要性が描かれています。
今後の展望
都倉俊一氏は、この作品を「ショーケース」と位置づけ、今後も日本国内外での上演を希望しているとのこと。未来へのメッセージとして、人々の心に深くしみ込むような平和の願いが込められたこの作品は、長崎だけでなく全国各地で広まっていくことが期待されます。
『LIGHT YEARS -幾光年-』がこれからどのように成長していくのか、目が離せません。感動の幕開けを経て、さらなる進化を遂げるこのミュージカルに、ぜひご注目ください。