2025年8月26日、佐藤正午の小説『熟柿(じゅくし)』が第20回中央公論文芸賞を受賞したことが発表されました。この作品は、KADOKAWAから刊行され、今年の3月27日に登場。受賞に際し、佐藤氏の喜びのコメントが届きました。
「『熟柿』は、連載に八年の歳月をかけて仕上げた作品で、受賞の知らせを聞いた時の喜びはひとしおです。この間、支えてくださったKADOKAWAの「チーム熟柿」にも感謝しています。これから多くの読者に届きますように!」と、彼の言葉からは、長い道のりを経て達成した喜びが感じられます。
第20回中央公論文芸賞の選考を担当した委員には、著名な作家たちが名を連ねており、浅田次郎氏、鹿島茂氏、林真理子氏、村山由佳氏の4人が選奨に貢献しました。受賞作に対する選評は、10月15日発売の『婦人公論』11月号に掲載される予定です。また、贈賞式は10月21日に都内で開催される計画となっています。
佐藤正午は、これまでにも『鳩の撃退法』(山田風太郎賞受賞)や『月の満ち欠け』(直木賞受賞)など、その洗練された文章と引き込まれるリーダビリティで多くの読者を魅了してきました。『熟柿』は、人生を踏み外した女性の静かなる決意と再生の物語が描かれており、真に実力派の著者らしい作品に仕上がっています。
現在、『熟柿』の2章分の試し読みが期間限定で公開中です。試し読み期間は、2025年7月10日から2026年1月31日まで。この特典は、ぜひ多くの読者に体験してほしいものです。
この小説のテーマである「熟柿」とは、熟した柿が自然に落ちるのを待つように、時機を忍耐強く待つことを意味します。物語の中では、取り返しのつかない過去の過ちが一人の女性の平凡な人生を奪ってしまう様子が描かれています。
ある雨の夜、かおりという女性が夫を乗せた車で老人を轢いてしまい、轢き逃げとして服役することになります。そこで生んだ息子・拓に会いたいあまり、彼女は園児の連れ去り事件を起こすことになり、以降は自らの罪を隠しながら流浪の旅に出ます。過去に関する秘密が彼女に迫り、物語はどのように展開していくのでしょうか。
『熟柿』は368ページにおよび、2025年3月27日に刊行される予定です。定価は2,035円(税別)で、電子書籍も同日配信されます。その美しい装丁は鈴木成一デザイン室によって手掛けられています。詳細はKADOKAWAの公式ページでも確認可能です。この機会にぜひ、きっとその魅力に引き込まれることでしょう。
著者の佐藤正午は1955年生まれで、1983年に『永遠の1/2』でデビューを果たしてから、数々の文学賞を受賞してきた実力派作家。彼の著作には『Y』『ジャンプ』『5』『アンダーリポート』『身の上話』『ダンスホール』『冬に子供が生まれる』など、多彩なレパートリーがあります。今後の佐藤氏の活躍から目が離せません!