「堀文子のデカルコマニー展」開催
日本のアートシーンに灯った一筋の光明、堀文子。その生涯を通して彼女は、自己の表現を追求し続けました。1960年代の彼女の作品群にフォーカスした初の展覧会「堀文子のデカルコマニー展」が、2025年5月29日より東京・銀座のナカジマアートで開催されます。これは同画廊の開廊30周年を記念した特別なイベントでもあります。
展覧会では、堀文子が1960年代に制作した数々のデカルコマニー作品を中心に、未発表の新作や書籍の挿絵など、貴重な15点以上の作品を展示します。特に彼女のデカルコマニー技法による作品群は、偶発性がもたらす独特な模様により、不思議な世界観を醸し出しています。
デカルコマニー技法の魅力
堀文子が用いたデカルコマニー技法は、絵の具を紙の間に挟んで圧力をかけ、その結果生じる偶発的な模様を用いるものです。堀はこの方法を通じて、自らの中にある感情や思考を具現化し、芸術的な表現を実現しました。1965年のインタビューにおいて、彼女は「いくらでも描けて、いくら描いても疲れないんですよ」と語っており、その情熱と創作過程に対する熱意が伺えます。
彼女の人生は波乱に満ちたものでありとりわけ1960年に最愛の夫を失った後、約2年半の海外放浪を経ることとなります。この旅が彼女の作品に大きな影響を与え、帰国後に彼女はデカルコマニー技法との出会いによって新たな創作の鼓動を感じるようになります。彼女の代表作《チアパスの夜》(1966年)や《魔王の館》(1964年)は、メキシコ滞在中の印象が色濃く反映されています。
今回の展覧会の見どころ
「堀文子のデカルコマニー展」では、1965年に彼女の初個展として発表された作品の数々に加え、これまで未公開だった作品も多く展示されます。特に、堀が自身の心象風景を描いた作品たちは、一見の価値ありです。出品作品は全て、堀文子の迫力溢れる表現技法を中心にしながら彼女の多面的な表現を感じさせてくれます。
展覧会は、銀座に位置するナカジマアートで2025年5月29日から6月18日まで開催されます。入場は無料で、さまざまな年齢層の方々に楽しんでいただける内容です。さらに、6月13日と14日には、堀文子が情熱を注いだデカルコマニー技法を体験する教室も予定されています。定員は各6名と限られていますので、参加を希望される方は早めに申し込みをすることをお勧めします。
まとめ
堀文子は、誕生から100年、アートに対する彼女の情熱は今も尚、色あせることがありません。彼女の作品は、私たちに新たなアートの視点を提供してくれます。今回の展覧会は、堀文子にとっても私たちにとっても新たな発見の場となることでしょう。もしアートを楽しむ一歩を踏み出したい方は、この機会をお見逃しなく!