吉野玄冬氏が第12回日経「星新一賞」グランプリに輝く!
吉野玄冬氏が第12回日経「星新一賞」グランプリに輝く!
2024年7月から9月にかけて実施された日経「星新一賞」で、地位ある文学賞のグランプリを受賞したのは吉野玄冬(よしの・げんとう)氏。彼の受賞作「ユウェンテルナ」は、理系的な視点を持ちながら、深い人間ドラマとSF要素を融合させた作品として圧倒的な支持を集めました。
今回の応募は、一般部門とジュニア部門を合わせて1,657篇に及び、前年よりも263篇増加。特に、AIによる創作が認められた作品は前回の70篇から93篇に増加し、文学の新しい潮流を示しました。一般部門では優秀賞に合計4作品が選ばれましたが、中でも吉野氏の作品は抜きん出た評価を受けました。彼の作品が描く物語は、アマゾンでの生物研究を行う主人公・佐柳楓矢と、先住民に崇拝される不老の女性・マーヤとの出会いに始まります。
「ユウェンテルナ」のあらすじ
主人公の楓矢は、ヒナギクの花畑で宇宙への夢を語るマーヤとの偶然の出会いを果たします。この出会いが、彼の運命を大きく変えることになります。後の時代、楓矢がマーヤの遺体から発見した寄生生物「ユウェンテルナ」は、人類に不老の時代をもたらしますが、その背後には恐ろしい宇宙の運命が待ち受けていたのです。月面移民船が打ち上げられた直後、乗員たちは突如として宇宙へと排出され、迫る大爆発が展開します。しかし、楓矢はその瞬間にマーヤの意思を感じ、希望の旅路を願うのです。この緊迫感溢れるストーリーが多くの読者を惹きつけ、吉野氏の才能を際立たせる要因となりました。
ジュニア部門の受賞作
ジュニア部門では、小林宗太(こばやし・そうた)氏の「将来ドック」がグランプリを受賞しました。将来の病気や犯罪を予知するという斬新なテーマの作品で、主人公が自らの“残念”な部分に向き合う物語が描かれています。この作品もまた、現代社会の問題提起を含んだ深いメッセージ性があります。
星新一賞の意義
日経「星新一賞」は、2013年から毎年実施されており、創造性に富んだ文学を広めることを目的としています。SF作家や大学教授、宇宙飛行士など、多彩な審査員によって選ばれる受賞作品は、思考を刺激する質の高い作品として知られています。第12回の受賞作は、日経電子版や電子書籍サイト「honto」で配信されており、誰でも無料で読むことができます。32作品におよぶ過去の受賞作品も、同様に配信中です。
このように、星新一氏の創造性を称えるこの文学賞は、未来の文学シーンに大きな影響を与え続けています。吉野氏を始め、多くの新人作家たちの登場を期待しつつ、これからの受賞作品がどのような世界を描くのか、楽しみでなりません。