朗読劇『夜叉ヶ池』、新たな挑戦の舞台へ
2025年5月28日から6月1日までの間、東京都中野で行われる朗読劇『夜叉ヶ池』。主催は朗読を得意とする「朱の会」で、今回初めての芝居公演となります。タイトルに惹かれる方も多いでしょうが、特に注目すべきは、泉鏡花の作品を舞台化するという新たな挑戦への意気込みです。
作品の背景と意図
今回の朗読劇は、泉鏡花の名作『夜叉ヶ池』を基にした翻案です。脚本を担当するのは、かつて朱の会に携わっていた夢乃玉堂。文語体の美文を残しつつ、現代の視聴者にも親しみやすい表現へとリライトが行われています。幻想的な物語は、言葉の持つ力を最大限に引き出し、鑑賞者を魅惑することでしょう。
美術と衣装がもたらす幻想的な世界
朗読会としてシンプルな表現で知られる朱の会ですが、今回は特別に舞台美術家の加藤ちか氏が参加します。彼女は35年前に劇団第三エロチカでの共同制作からの再会となり、その相乗効果がどのように表れてくるのか周囲の期待が高まっています。また、衣装プランには商業演劇でも活躍する阿部美千代氏が加わり、独特の華やかな和風衣装が多数用意される予定です。観客は、視覚的にも楽しめること間違いなしです。
音楽と照明での演出
音楽は朱の会のVol.1から携わっている余田崇徳氏が担当。照明は由利優樹氏が手掛け、音と光の共演が物語の確かな基盤を形作ります。これに加えて、多彩な俳優陣が個性豊かに役を演じ分けることで、舞台全体は色彩豊かな空間に仕上がるでしょう。
物語の概要とテーマ
物語は大正二年、越前の国の琴弾谷という村が舞台。山沢学円という二人の男が、行方不明の友を探しに訪れるところから物語が始まります。美しい村の女性百合との出会いを通じて、信仰と人間の因果、神秘が交錯する幻想的な世界が描かれています。さらに、日照り続きで村人たちが困窮する様子を通じて、物語の深層にある神話的要素も浮き彫りにされています。
公演の詳細
公演は中野スタジオあくとれで行われ、詳細な出演者やスケジュールが発表されています。特に、5月30日の星組プレビュー公演は注目の一日で、通常料金よりもお得に楽しむことができる機会です。チケットはカンフェティで購入可能で、全ての座席が自由席となっています。一般価格は4000円ですが、プレミアム公演は3000円となっていますので、お早めにチェックすることをおすすめします。
この春、ぜひとも足を運んでいただきたい舞台『夜叉ヶ池』が持つ魅力を、観客の皆様に存分に体感していただきたいと思います。