夫婦幸福度の向上とコミュニケーションの変化
「いい夫婦の日」を前に、2025年の日本における夫婦関係に関する調査結果が発表され、特に50代と60代の女性において夫婦満足度が顕著に向上したことが明らかとなりました。調査は、株式会社ハルメクが実施し、全国の50~79歳の既婚男女600名を対象に行われました。
毎年の調査とその変遷
ハルメク生きかた上手研究所は、毎年夫婦関係に関するリサーチを行っています。最近の結果によれば、夫婦満足度は68.7%に達し、前年よりも2.4ポイントの増加が見られました。特に注目すべきは、50代・60代の女性がそれぞれ9〜13ポイントの大幅な増加を記録したことです。また、この満足度が高い層では、全体の幸福度も高い傾向があることが分かっており、夫婦関係の充実が幸福感へと直結しているようです。
過ごす時間の新たな指標
今回の調査では、「一緒に過ごす時間が長すぎる」と感じる瞬間についても問われました。仲良し夫婦は、平日平均約4時間を一緒に過ごしているのに対し、不仲夫婦では約2.5時間に留まっています。この結果から、同じ時間を過ごしていても、その質や長さの判断が夫婦間の関係性に影響を及ぼすことが示唆されます。仲良し夫婦が「長すぎる」と感じる時間帯は2〜3時間未満が一般的であったのに対し、不仲夫婦はそれよりもはるかに短いため、心地よい距離感が重要であることが浮かび上がります。
デジタル時代のコミュニケーション
夫婦間のコミュニケーション手段も変化しています。LINEやその電話を利用する割合が増加し、逆にメールやショートメールの使用は減少傾向にあります。LINEの利用率は66.2%に達し、夫婦同士の手軽なやり取りが日常化していることが見て取れます。また、情報共有アプリやサービスも利用が広がっており、夫婦間の距離感を保ちながらもお互いの生活を鮮やかに感じ取る手段として機能しています。
へそくりの新たな動向
夫婦の経済面に目を向けると、へそくり額の傾向にも変化が見られました。これまでは「女性>男性」「不仲夫婦>仲良し夫婦」という傾向が強かったのですが、今回はこの差が縮まりました。へそくりを持つと答えたのは全体の26.5%で、最も高いのは「女性・不仲」で162万円、一方で「女性・仲良し」は101万円という結果でした。経済的な自立や家計管理の共有が進み、従来の価値観が揺らいでいる様子が伺えます。
幸福度を上げる夫婦の秘訣
調査の結果、仲良し夫婦が求めるのは、適度な距離感であり、互いに干渉せず、尊重し合うことが重要であると多くの自由回答により示されました。一緒に過ごす時間が増えるほど仲が良くなるとは限らず、心地よい距離感を保つことが長い関係の秘訣であることが浮き彫りになってきました。
夫婦間の幸福度が高まる中で、日常のコミュニケーションや経済に対する価値観の変化が、熟年夫婦の日常生活にも新しい風を吹き込んでいるといえるでしょう。これからも夫婦関係を深めるための視点を持ち続け、より豊かな生活を築いていくことが求められます。