関根虎洸が描く、異色の世界旅行記『迷宮ホテル』が登場
8月26日、フリーカメラマンである関根虎洸氏の新作旅行記『迷宮ホテル』が発売されました。本書は、著者自身が10年以上にわたって世界各地を巡り、いわくのあるホテルや歴史的な通りを訪ねた結果を纏めた一冊です。
世界を巡る歴史的ホテルの旅
本書では、福建省の客家土楼を皮切りに、ザンジバルや上海、香港、そしてスリランカやマレーシア、タイ、シンガポール、インドネシアなど、多彩な地域のホテルに泊まり、各地の文化や歴史を感じ取る様子が描かれています。著者は、古いホテルに宿泊し、歴史的な路地や旧跡を訪問、その過程で得た体験と出会った人々との交流を丁寧に記録しています。
特に、カバー写真には、日本人バックパッカーに人気のあるいわくつきの宿が使用されています。また、「土楼の王」と称される福建土楼の承啓楼には、正月の春節に行われる伝統的な結婚式も取材され、通常の観光では知りえない行事の数々が紹介されています。
ザンジバルとアジアの歴史を辿る
著者はタンザニアのザンジバルにて、かつてのアラブの君主が所有した豪華なホテルに宿泊し、街を歩きながら人々の日常や、奴隷市場の痕跡についても考察を深めています。中国・上海では、伝説のギャングスタ―杜月笙にまつわる歴史を辿り、香港では2019年の民主化運動の生々しい様子を綴っています。
ジェフリー・バワの足跡を追って
スリランカでは、著名な熱帯建築家ジェフリー・バワの作品を巡る旅が展開されています。関根氏は、彼の建築の特徴である内外のつながりを感じられる建物の数々を、外観から内装に至るまで撮影しております。現地の人々との交流や、旅行会社とのコミュニケーションを通じて、彼は現地の独特な風土をより深く感じることができました。
プラナカン文化への探求
また、関根氏はマラッカ海峡に住むプラナカン文化に注目し、マレーシアやシンガポールなどを訪れ、彼らの歴史や文化を掘り下げています。マイノリティでありながら特権階級として複雑な二重性を持つプラナカンたちは、中国・マレー・西洋文化を融合させ、独特な文化を生み出しました。著者はその魅力を古いホテルや街並みを通して伝えています。
現在と過去が交錯する旅の記録
旅の中で関根氏は、過去に読んだ著書や映画をさらに深く考察し、時折それらの記憶が彼の旅に交錯しています。『迷宮ホテル』は、単なる旅行記ではなく、著者が出会った人々や彼らの歴史、さらには文化が豊かに詰まった作品となっています。160点以上の圧巻の写真は、読者に各地の魅力を伝え、異国情緒溢れる旅の思い出を提供してくれることでしょう。
書籍情報
『迷宮ホテル』は、価格1,980円(税込)で、A5判、176ページにわたる作品です。この本は、旅行好きや歴史に興味がある方々にとって、必見の一冊となること間違いありません。詳細は、Amazonや楽天ブックスでご確認いただけます。
関根氏はこれまでも多くの宿泊施設を取材し、埼玉県出身の元プロボクサーとしても活動している多才な人物です。彼の新たな作品から、再び目が離せなくなりそうです。