オンライン行政手続きの普及と窓口派の意義について考える
紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI)が実施した最近の調査によると、市区町村の役所での手続きに関して、オンラインでの手続きを選ぶ人が39%、対面窓口での対応を選ぶ人が37%に達しています。これは、多くの自治体が住民サービスの向上を目指し行政のデジタル化を進めていることを反映していますが、年代によってその選択は明確に分かれることが明らかとなりました。
調査の背景と方法
KSIは、時事トピックを中心に月に2回のオンライン調査を行っています。今回の調査は、全国の18歳以上の男女1,000人を対象に、5月26日に実施されました。行政手続のオンライン化が進む中、住民の利便性向上や職員の負担軽減に関する意識を調査した結果、多様な声が寄せられました。
オンラインと窓口、世代ごとの選好
調査結果では、役所手続きに関してオンライン派が39.7%、対面窓口派が37.4%、さらにはコンビニでの手続きが11.1%、郵送が6.5%となっており、オンラインと対面の利用状況はほぼ拮抗しています。特に年代別に見ると、オンラインを選ぶ割合は若い世代で高く、20代では6割に達していますが、70代以上ではこの数字が2割台にとどまります。一方、窓口利用者は年齢が上がるほど増え、特に70代では約6割が対面を選択しました。このデータから、デジタル化の波に対する反応が世代によって異なることが明白になりました。
行政広報誌の理解度
行政の広報誌に対する読者の反応も興味深いデータを示しています。「毎号必ず読む」と答えた割合は、男女別で見ると男性は約1割台前半、女性は2割台前半に上っています。また、70代以上の読者がもっとも多く、地域差でも北海道や近畿圏での読者割合が高いことが分かりました。この傾向は、住民の政治的な支持とも関わり合いがあるようです。
働き方改革と開庁時間の短縮
また、職員の働き方改革の一環として公共施設の開庁時間が短縮される取り組みに対する意見も分かれています。調査では「不便だと思うが仕方ない」と感じている人が51%を占め、一方で「不便だと思う」と答えた人は約30%に達しました。これは、国民の間に変化の受け入れ方が異なることを示しています。
不明点解消の方法
行政サービスの利用に関する不明点がある場合の対処方法も調査され、トップは「対面窓口を訪問」が46.8%、次いで「電話で担当部署に問い合わせ」が43.0%、「ウェブサイトを利用」が31.4%となっています。このことから、高齢層ほど対面を重視する傾向が見受けられます。年齢が上がるにつれて、対面や電話による確認が好まれる一方で、若い世代はウェブサイトでの確認を選好する傾向があります。
暴力的な態度に関する視点
また、行政や公共施設での職員に対する不適切な態度についても言及されています。「遭遇したことがない」との回答は77%、一方で「ある」との回答は18%で、年代別に見ると若い世代が割合として高いことが分かりました。
政治的な視点
最後に、今夏の参院選に関する意見も併せて調査されています。自民党が13%でトップですが、立憲民主党や国民民主が続く中で国民民主が3位に転落するなど、支持政党の動向にも変化が見られます。
このように、オンライン手続きの普及や窓口派の意義は、デジタル化だけではなく、それを支える人々のライフスタイル、特に年代による意識の違いを反映した興味深いテーマです。今後、より多くの意見が交わされながら、行政サービスの充実に向けたステップが進むことでしょう。