「もしもこの世に対話がなかったら」。対話を求める新たな試み
2025年2月20日、株式会社KADOKAWAから新書『もしもこの世に対話がなかったら。 オープンダイアローグ的対話実践を求めて』が発売される。この書籍は、著者である横道誠氏が提唱するオープンダイアローグの概念を病院外でも実践する方法について深く掘り下げた作品である。オープンダイアローグはフィンランドに起源を持つ精神療法であり、近年日本でもその重要性が認識され始めている。
オープンダイアローグとは?
日本でオープンダイアローグが普及し始めてから10年。この対話形式は、患者、家族、友人が淡々と病気について語り、その後医療チームが意見を交わし、その内容を全員が聞くという流れで行われる。これは単なる治療法ではなく、参加者全員が心の健康を追求するための協力である。
著者の横道氏は、この方式を病院の外でも利用できるのではないかと考え、自助グループ「ゆくゆく!」を立ち上げた。日本の医療制度において、オープンダイアローグの普及が思うように進まない中、横道氏は当事者自らが共に支え合いながら心の問題に向き合う必要性を感じている。この「ゆくゆく!」は、オンラインで行われる対話の場として、定期的な実践を通じて生まれる安心・安全なコミュニティを提供している。
自助グループ「ゆくゆく!」の活動
「ゆくゆく!」は、ボランティアのスタッフによって運営されるインクルーシブな自助グループで、すべてのメンバーが「安心安全な場を作る」ために協力することを大切にしている。月に一度、オンライン会議アプリを通じて対話を実施している。この場所では、参加者がそれぞれの悩みを共有し、互いに助言や理解を示しながら意識を高めていく。
具体的には、仕事の悩みや人間関係の葛藤、孤独感、家族からの相談など多岐にわたるテーマが取り扱われている。こうした対話を通じて、参加者は自分自身の困難を乗り越える力を培い、時には涙を流すこともあるが、それもまた心の浄化に繋がるのである。
書店イベントでの対話
さらに、出版に合せて3月14日には紀念イベントが開催される。著者の横道氏と精神科医の斎藤環氏を招いたトークイベントは、東京・三鷹の書店UNITÉで行われる予定で、現地参加やオンライン参加が可能だ。参加者は異なる視点から、対話の重要性について学び合うことができる。
このイベントは参加費が設定されており、来店の場合1,980円、オンラインの場合は1,320円でアーカイブも提供されるため、参加者は何度でも内容を振り返ることができる。
まとめ
横道誠による『もしもこの世に対話がなかったら』は、ただの読書に留まらず、私たちの心と身体を調和させる重要な手がかりを与えてくれる作品である。オープンダイアローグ的な対話が、日常生活や精神的な健康にどのように寄与するのかを考える上で、非常に良いテキストとなるだろう。対話の力を再認識し、実際に行動に移す場を探している人にとって、この書籍は一読の価値がある。
詳細や書籍の購入はKADOKAWAの公式サイトをチェックしてみてほしい。